明日は我が身

■明日は我が身

 昨日はほとんど立ちっぱなしの力仕事であった。筋肉痛の心地よい疲労が全身を覆い、ダラのように眠ってしまった。その結果、朝5時45分に自然に目が覚める。

 外が明るいので、車の中に積んである荷物を降ろすことから始める。外は、涼しく今しかないという感じである。身体に変化が起きたことを自覚した。一言でいえば調子がいいのである。自分の場合、調子がいいときは動きが緩慢になる。今までは、今日のようにやらなければならないことや覚えていなければならないことがたくさんあると、参ってしまいストレスになっていた。しかし、今日は動きは緩慢ながら次々と忘れてはいけないことが、整理されて頭の中に湧き出るので、スムーズにことが運ぶ。近々にやらなければならないことに、干支の見本製作、打合せ2回、出前講座の原稿作成、次回のイベントの道具の確認、月のうさぎの在庫数確認、自分が担当者になっている来月末のイベントの打合せ、庭木の剪定作業、家人の送り迎えなどが、一度にど~ッと押し寄せて来たが、すんなりと進んでいる。やはり、これは睡眠の成果だろう。

 後片付けを終えた後、家人が実家へ行くと言っていたので、給油してから出かけることにした。最近、あまり本が読めておらずゆっくりと過ごしたかったので、ファミレスのモーニングを目指した。外は、日差しが出ていたが、日陰は涼しく歩く分には問題がなかった。まあ、汗も出ない。歩きながら、昨日の中秋の名月を思い描いていた。ウサギのお月見のクラフトを目の前にして家族で月を見ながら団子を食べている風景が思い描かれる。

 登山時計がまた壊れた。京都で新しい時計を買ったので、もう直さないことにした。買った時には表示されてなかったがソーラー電波時計にアンテナ受信のマークが表示されていた。これで、正しく受信していることが確認できる。

 快調に歩いていたものの、やはり疲労が出ているので、方針変更でいつものセカンドオフィスへ向かう。ここも、ゆっくり出来る。しかし、今日は土曜日なので半分ほどの混み具合である。入った時には気が付かなかったが、前の職場のOさんが来ていた。いつものように、喫煙室で一服してどこかに出かけるのだろう。

 薬を服用するために、モーニングセットを頼む。そして、本を読もうとしたが、眠たくなったので、目を瞑る。何回か繰り返して気が付くと、人差し指に血液が一滴付いている。こんな時でも慌てないで少しづつ確認していくと、かさぶたが取れた場所から出血していることが分かったので、ナプキンで圧迫止血をする。昨日も似たようなことがあったが、かさぶたの下は綺麗な皮膚が現れてホットした記憶がある。いずれにしても、かさぶたは自然に取れるまで放置しなければならないが、かゆみがあると直ぐに手が行ってしまい、今回のようになる。

 もう昼のメニューにチェンジしているので、コーヒーはまだ残っていたが、出ることにした。出口のドアがしまった瞬間だ。店の中からガッチャーンという音がしたので、足止めを食らった。高齢の男性が、返却棚に戻そうと歩いている途中で食器を落としたのであった。しかも、身体がスローモーションのように足から崩れて、壊れた食器の破片の上に顔から倒れたではないか。その後、ピ~ンとなってしまった。途端に近くにいた方や店の方が大急ぎで助ける。すると、男性は手を付いて起き上がろうとした。単なる躓いたというレベルではなく、急に意識がなくなってしまったかのような行動であった。自分はその人の顔を見るのが嫌で、そのま歩き出した。歩きながら、前回のぐるぐる回る目眩のことなどを思い出し、明日は我が身と戒めた。かといって、どうすればいいのだろう。出歩くなということか。山で熊に注意と看板が出ているようなものである。どう注意すればいいのか。そうして、野垂れ死にとはこういう風になるのではなかろうかと納得に似た感じを持った。

 今日は日差しが暖かく、日陰では寒いくらいだ。まだ長袖の人は見なかったが、自分のようなサンダル履きも見なかった。完全に浮いているので早々と帰ることにした。

 さて、昼はどうするか。有名なラーメン屋さんを覗いてみたが、こんなんで800円か!食欲などわくはずはない。今回も自分で作ることにした。新しいレパートリーであん掛けラーメンを作る。

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 まあまあの出来であった。

 そして、夕方は名月を見ながらダンゴを食べる。和歌の一句も出るかなと思ったが、創作の神様は降臨しなかった。

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■「濃霧の中の方向感覚」(鷲田精一著、晶文社、2019年)を読む。

「生き延びるには、既存のシステムに依存するのでなく、“自衛”のネットワークを編んでゆくしかない~」

「スキルと呼ばれるものは、隣の芝生に行って発揮されなきゃだめなんだ」

「~奨学金という名のローン~」

「自分が何を知らないかを知ることは、たんに何かを知ることよりもはるかに難しい。」

「人はだから、‘’正しいものを強くできなかったので、強いものを正しいとした‘’」

「~忘れるというのは健康なことだといえる。」

「~長期的な人口減少が確実に見込まれるにもかかわらず相も変わらず‘’経済成長‘’を謳う~」

「自由というものを、じぶんの意のままにできることと勘違いさせている~」

「つまり現在の世代は、自然や社会のシステムを修復不能なまでに壊したまま、それらを次世代に手渡そうとしている。」