苦渋

■苦渋

 登山後の2日目である。この年齢になると疲労は2日目に出ると言われているが、当たってしまった。昨晩から足が痛く、階段を下がる時にズキンズキンと痛む。朝起きたが、体全体に倦怠感があり、肉体疲労を感じる。栄養ドリンクが必要な状態である。

 雨なのでアーケード歩き必須と考えたので、家人に車で送ってもらうことにした。今日はゴミ出し日なので、ゴミを出す場所でピックアップしてもらった。セカンドオフィスでも疲れが取れず、眠っては本を読みを繰り返す。こういう日は、帰宅して休むに限ると少し早めに出る。当然、バスで帰宅する予定であった。バス停に着いたら出た直後であった。雨は小降りになっているので、歩き始める。しかし、直ぐに大粒の雨になりあわててバス停に戻る。しばらく待っていたが、20分以上の待ちがあることと、雨が小降りになったので、再び歩き始める。

 途中でドラッグストアにより、薬と食品を買う。今日は寒いので暖かいきつねそばに決めていた。やっとやっと歩いて自宅まで着いた。

 しかし、鍵がない!

 ここで、思い出した鍵は玄関に置いてきたのであった。ゴミ出しした後で取りに行く予定であった。念のために窓を全部確認したが、完ぺきに閉まっていた。

 しばし、茫然とする。2kmほど歩いて帰宅した後に昼食に出なければならない。ただ、お腹が膨れればいいというものではない。5時間ほど時間過ごさなければならない場所である必要がある。そこで、一番近いファミレスにした。やはり2kmほど歩かなければならない。身体は動くのを拒否しているが、苦渋の決断をした。

 ランチとドリンクバーで粘る、粘る、眠る、粘る。しかし、17時には出てしまった。続いて、スーパーの椅子で粘る、粘る。

 今日は傘が差せないほどの雨風で本を濡らさないようにリュックを前で担いだ。

 歩数は1万9千歩になった。

■「白嶺の金剛夜叉」(井野辺康之著、山と渓谷社、2020年)を読む。

「世は無常だ・・・・」

老兵は死なず、ただ消え去るのみ」

「ああっ、落ちた!」

「~利益をあげることが存続の条件である。」

「とにかく人が多すぎる。」

「トレーニングはいつだって欠かせないから」

「~近年の百名山ブームは目にあまる狂乱ぶりで、百名山完登を目指すとか、すでにいくつ登ったとか、俺の方があいつより多く登ったとか・・・・・あさましい功名心を争う有様が腹に据えかねていた。」

「親孝行ができないような奴はロクなもんじゃない。山に登ったり、写真を撮る資格はない」

「~年間262日も山にいた年もあるほどだった。」

「~ロンジンの腕時計~」

「禄を飯んでいる輩は仕事も考え方も甘い」

「自分は精一杯の気持ちで相手に対する。そのかわり、相手に対しても精一杯の誠意を要求する。」

「弛緩した曖昧な姿勢を許さないのだ。」

「常に美しいものに接すること。物事に感動する清新で柔軟な心を失わぬこと」

「阿修羅の力と観音の目を持ったような方~」