初日

■初日

 自分の体型で初日と言えば相撲になろうが、残念ながらそうではない。勤めが始まったのである。実は、完全に忘れていた。家族からも反対され、相手からも返事が来ないので断る予定でおり、スケジュールから完全に抹消した。そのため、記憶の外に忘れ去られていた。ところが、今日の午後から来て欲しいと連絡が入ったのである。まだ、断ってはおらず、まあ一度体験してからでも遅くは無かろうとOKの返事をした。

 午前中は、植樹の無花粉杉の状態を確認しに山へ向かう。無事活着したと判断した。

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 今日は家人は休みであったので、仕事場まで送ってもらう。なんせ交通費は出ない。

 人事部で待っていると、100名近いアルバイトがいるようである。説明で分かったことは、例年冨大生で対応していたのが、コロナの影響で賄いきれずに募集したという。自分より年長者も沢山いるので幾分楽になった。最初に、25kgの荷物は持てないと進言した。これで、ダメならさようならという筋書きであった。しかし、人事の担当者は自分を上から下まで目で追って、「あんたなら、大丈夫だ!」と勝手に判断されてしまった。自分は腹が出ている分、見かけは力がある様にみえるのであろうか。腰も病んでおり、見掛け倒しであることを分からせてやると職場の説明に向かった。

 作業は3人で1チームで構成されている。そして、それぞれ3種類の作業があるので30分ずつローテーションで行うという。班長は20代であろう。予想に反して簡単であった。200g程度の商品をカゴから取り出し、目の前のベルトコンベヤーに60~80cm間隔で置いていくのである。だいたい1秒で一個置くような感じになる。ただ、置くだけである。この作業は前と後ろにあり、前が終わったら後ろの作業と変わる。中腰ほどでもないので、そんなに負荷は感じなかった。そうして3種類目は25kgの箱をロットを間違わないようにローリングローダーに並べるのである。まあ、持って乗せるというよりは、ずらして乗せるという方が近い。1ロット1箱から9箱程度である。

 この作業は30分で10箱ほどなので、終始大型扇風機の風に当たっていた。事実上休憩のような感じである。

 一通り終わったということは90分経過した時点でライントラブルが起こり、1時間ほどストップする。よく止まるという。こっちは、ラッキーである。しかし、当日分を残業してもやり切るという方針であり、沢山ある時はしんどくなる。今日は16時には終わった。

 最初は、断ろうと考えていたが、はっきり気に入った次第である。残念なのは筋トレにつながらないことである。明日からも続く。

■「四角い光の連なりが」(越谷オサム著、新潮社、2019年)を読む。

「ミスを内に溜め込まないでその場で笑い話にできるんですから、そういう陽性の人はどこでも重宝されますよ」

「~中年が若者にできるのはただ一つ。邪魔せずに黙っていることだ。」

「この法則性に気づいたおれは、以後ルーティンの奴隷と化してしまった。」