十二月

■十二月
◎雨雲に人生重ね十二月   禅智
 玄関の戸を開けた途端、生暖かい風に包まれる。気温は高いようだ。空は、今にも雨が降り出しそうに鉛色の雨雲に覆われている。風が強い。どこから飛んできたのか、歩道に帽子が落ちている。店の開店閉店を告げる案内標識が落ちている。病院の杉の木がおいでおいでをしている。先週は運動をしておらず、どことなく不完全燃焼の感じがする。
 今日から12月である。50歳を越えたあたりから月日の経つのが早く感じるようになった。
 先行きが真っ暗な昨今何とかせねばと焦った一年も終わりを告げようとしている。いつもなら来年こそはいい年でありたいと願うところなのだが、齢(よわい)を重ねていくと似たような年になることが見えている。
 今朝の新聞では、今年の十代ニュースの投票を呼びかけていた。毎年恒例の自分の「今年の重大ニュース」も振り返ることにしようか。毎年、十大もないので、重大としている。

■「シダの扉」(盛口 満著、八坂書房、2012年)を読む。
 一つひとつも奥が深い。一度には覚えきれないので何回も借りなければならない。
「シダは花の咲かない植物である。かつては、コケや海藻やキノコとひっくるめて、隠花植物という一群にまとめられていた。」
「シダには猛毒を持つようなものはない。」
 挿絵は写真撮りして保管した。