ツルッツルッ

■「旅人は死なない」(リシャール・コラス著、集英社、2011年)を読む。
 不思議と引き込まれる内容であった。ブータンから四国お遍路、短編19編であった。それぞれつながりはなかったので、同じ作者なのかと疑ったほどだ。翻訳であったが、日本の話も何篇かあり、違和感はなかった、

■ツルッツルッ
 帰りの道路は凍結していた。車も事故っていた。何回もバランスを崩しながらも転ぶことはなかった。信号待ちしているときに、見ず知らずのおっさんから「つるつるですね」と声を掛けられた。下手に返事をして刺されるという事件も起きるこのごろなので、慎重に「え〜」と答えるとともに、相手を見た。家政婦はミタではなく、相手の頭を見た。ツルツルは納得した。心の中では「怪我無くて良かったね」と呟いていた。