■落穂
◎刈田ミレー落穂を拾うムクの群れ 禅智
あちこちで稲刈りが盛んである。今年は雨がたたって田んぼがぬかるんでおり、コンバインは入れないということであった。新聞には、稲刈りが遅すぎると米が割れてしまうと報じてた。
刈り取られた田んぼでは、野鳥達のパラダイスのようだ。何種類もの野鳥が啄んでいる。
ミレーという画家の作品に落穂拾いとうのがあったと記憶している。間違いかも知れない。小学校だったか、中学校だったか名作ということで何かに載っていたと思う。
まだ純なぜんち少年はその絵を見てこう思った。
「貧乏な小作農家の人たちは、刈り取られた後に残る落穂を拾い集めて生活の足しにしているのだ。秋の季節とマッチして哀愁が漂う。」
しかし、あれからン十年、ひねて曲がってしまった性格では、違った思いをしている。だいたい、現物を見ればわかるというものを見ずに推定ゲームをしているようだ。
ミレーはどこの国の人かはしらないが、たぶんヨーロッパだろう。ヨーロッパで稲作なんかしているだろうか。それも、昔の時代だ。そうすると、落穂は稲ではなく別の作物ということになる。麦かな? なんでも自分の知識がすべてと思い込んで都合のいいように解釈していた自分が発見できたことが、楽しい。
黒いハトがいる。カラスバトではないかと思ったが、ドバトらしい。
雲は秋らしい筋状のうろこ雲であった。
ムクドリが群れている。ここは、刈田ではないが、刈田にもたくさん群れていた。