六甲山

■六甲山

 数日前は台風22号の本州への影響も大きく予報されており、真剣に下調べはしてなかった。幸いにも台風は東へ大きく反れてくれ、良い天気になりそうだった。

 そこで慌てて地図などを確認したが、不十分である。不十分な理由はまだある。目的となる六甲山はロープウエイを使えば標高差は100mほどとあり、頭の中は日本三大名湯である有馬温泉に向けられていた。日本三大名湯は、兵庫県有馬温泉群馬県草津温泉岐阜県下呂温泉である。

 頭の中は、少し前の霧ヶ峰のような風景を予想していた。秋晴れの中、少し寒さを感じる秋の風を全身に受け、標高差100mほどをゆったりと進むと考えていた。

 早朝出発である。平日なので空いている。最初はモーニングである。7時になったらサービスエリアも開店するが、同じ場所には行きたくない。所用でパーキングに寄った、そして牛丼チェーンが開いていることを知った。これはラッキーである。満腹になったところで、下調べが不十分であるとくさのさんに打ち明ける。なんとかなろうというそぶりであった。

 途中のSAに寄り名物の黒豆パンを買って二人で分けた。地元にはない食感であった。

 ここまででロープウエイで登ることに決まったのでナビを合わせ、有料駐車場に停める。最大1200円は安い方だと思う。

 ロープウエイの出発地点の有馬温泉駅である。

 座席に座れたので、なかなか快適であった。ちなみにロープウエイを使わずにも登れるがこの場合はコースタイムで3時間ほど、標高差500mほどであるが今の自分には難しくなって来た。おそらく5時間はかかるだろう。

 12分で山頂駅に到着である。

 さて、目的とする六甲山最高峰地点へはどう行けばいいのか。駅前に案内標識はなかった。こんな時のために地図を持って来ているのである。しかし、分からない。自分は分からない地図を後生大事に持って来たのであった。

 取り敢えず上の方角に進む。

 しばらくあるくと案内標識も現れ、目の前にゴール地点の鉄塔が見える。目視できるということはそんなに遠くは無いはずであった。

 歩き始めて驚いた。登山道は下っている。それもかなり長い。せっかく高いロープウエイ料金を払って登って来たのに、まだ下がるのか!

 ついに車道へ出た。

 車が来ないことを確認して車道を渡ったら、こんどは長い長い長い石の階段が続いている。ここで高尾山の階段地獄が頭をよぎった。

 やっと登り切ると、ありがたいことに水平道が続く、そして下るのである。今回も長い。一つ登って、二つ下るという感じである。ここまで下るとどこかでツケが回ってくるはずである。

 何回か、登り下りを繰り返すと、また思い出した。猪臥山である。目的地まで行くのに途中の低い山を登り下りする訳であるが、登山道は尾根沿いに造ってあるので、かなりの負担になる。そしてお決まりの車道で出る。ということは、車道は山の間を縫うように造られていることが分かる。汗など出ないと考えていたが、もうだめである。汗止めを着ける。

 目的の塔は大きくなって来ているが、まだまだである。

 途中、景色の良い場所があった。

 今度は車道沿いの道になる。なんか、アルペンルートのような気がした。

 あと2.3kmの標識である。自分だけかもしれないが、どう考えても4~500mは歩いていると考えているが、標識では200mしか進んでいない。この状態を何回か繰り返す。

 階段は石の階段で歴史を感じさせる。まあ、普通の人には歩きやすいハイキングロードであろうが、今の自分には堪えるね。5~6歩登っては立ち止まる。くさのさん曰く、「六歩山」とのこと。座布団一枚級であった。

 木の幹にぎっしりとキノコが生えている。きのこは、100%分かっている以外は採らない。しかし、このきのこは、なにか美味しそうに見えた。後からくさのさんに調べていただいたところ、ヒラタケの一種ということが判明した。たしかに、形はヒラタケであった。

 アサギマダラも今の時期だと動きがゆるやかである。

 坂は石が敷き詰めてある。やはり、最後はこれまでの下りを取り返すように登りが続く。累積標高差は500mほどいくのでは無かろうか。

 山頂下にモニュメントがあった。どこかの山岳会が設置したようだ。

 登頂である。素晴らしく最高の気候であった。ここまでほぼコースタイム通りであった。数組がたむろしていた。行動食を食べてゆっくりする。期待したほど景色は見れなかった。

 秋の登山の醍醐味は木の実である。なんと、アキグミがどっさりなっており、食べごろである。くさのさんは、だいぶ食べられていた。自分も少し口に入れた。まあ、美味しい方だろう。

 下山である。車道で戻るという選択肢もあったが、リスクもあるので同じ道を戻る。下山というよりも登山である。ここまでなんとか持ちこたえてきた自分の足が痙攣気味になった。この山で服薬するとは思わなかったが、念のために服薬する。水分は大量に持って来ており、なんども小休止をしながら摂取した。

 この景色は登りの時にも見ていたが、座って見ている人たちがいたので。再び撮る。

 ロープウエイ出発の10分まえに到着した。続いては、本日のメインイベントである。温泉である。金の湯、銀の湯、太閤の湯とあるが、やはりここは「金」だろうと向かう。700mほどの距離であった。

 銭湯並みに安かった。お湯は茶色で、地元の神代温泉を彷彿とした。予定では1時間は入っていようとしたが、もうくらくらであった。俗に言う効く温泉である。上がってから張り紙があった。5分以上浸からないで下さいとあった。少し、水で冷やしで脱衣所へ向かう。体重はまだ80kgを切っていなかった。

 そのうちくさのさんも上がって来られた。

 いや~、いい温泉であった。

 後は、食事である。昼は山頂で行動食だけだったので、事実上昼夕合わせた形になる。自分は肉を食べたかった。少し高級そうな店に入る。

 まあ、何はともあれノンアルビールで乾杯である。

 風呂上がりのビールは最高である。

 食事が台車に乗せられて来た。思わず目を見張った。丹波牛、丹波地鶏、雪姫ポークと全品肉づくしである。丹波牛のステーキなど歯が要らないくらいである。少し贅沢であったが、折角きたのにケチったのではなおもったいない。

 この食事に大、大、大満足であった。自分などは、肉をたらふくといったら焼き肉しか思いつかないのに、こういう懐石料理は驚きの連続であった。

 今回の登山を満足げに締めてくれた。