■御嶽山敗退
思い起こせば6年前だったか、私とくさのさんは御嶽山噴火の日に御嶽山登山を計画していた。しかし、加入している山の会の行事と重なり、次の週にということであったが、噴火してしまい多数の犠牲者が出て登山禁止になった。
そのためある意味、今回はリベンジである。
登山地図を確認すると、登山口から狭い等高線と垂直に登山道が切られている。それも最後まで同じパターンである。中の湯登山口からは約5時間である。自分の体力の許容時間は3時間程度と自覚している。少し不安はあったが、標高差1200mは、八が岳の赤岳でも実施したので、早朝夜明けと共に登り始めれば何とかなるだろうと考えていた。
前泊するために、登山口へ向かい下見をしてから、夕飯を食べる。木曽町の中で見つけたレストランでくさのさんの推薦で入った。
フォークとナイフで食べる食事はどれくらいぶりか。
4時に起床し夜明けの5時に登山口に着く。しかし、駐車場は満車で、路上にも止まっている。4時では遅かった。辛うじて、隅の方に入れれた。登山届を提出し、検温を受けてから出発である。
私の調子は悪くはなかった。しかし、地図の通り最初から急登である。
このような枕木の道が延々と続く。私は気負い過ぎていたのか、くさのさんに飛ばしすぎと言われるまでペース配分を誤ったようだ。10分を過ぎたころから、内臓の調子が悪くなり吐き気を催す。おまけに、大汗である。過去の経験からこういう状態は、まずリタイヤである。しばらく一緒に歩いてから、くさのさんの下山と私の登りの途中で会いましょうと別れる。
中の湯から1時間ほどで7合目である。最初はここかと思ったが違っていた。自分の場合のリタイヤか続行かの判断基準はコースタイムに対して2倍ならばリタイヤである。3割増し程度であれば時間は遅くなるが続行する。
白玉金時を食べたくなった。
ここが、7合目である。ここまでのコースタイムは書かれてないのでだいたい1時間とみており、3割ほどオーバーしていた。
7合目の山小屋である。スルーする。
ここからが、ひどかった。7合目で戻ることで考えていたが、そんなに遅れてないので8合目まで向かう。しかし。10歩歩いて休み、1分歩いて腰掛けるを繰り返す。
半分ぐらいのところで、吐き気が酷くなり、足腰も効いている。やはり戻ろうと何度も振り返った。ファイト!、六根清浄!、ここで負けるな!とあらゆる鼓舞を自分に奮い立てたが、5歩歩いて休みとなり、もうすぐというところで、後400mの標識に出会い茫然となった。もういい、全力を尽くしたという考えと、せっかく来たのだから、せめて8合目まで行きたいという気持ちが交錯した。
8合目の山小屋が見えた時は、全身脱力してしまい、へなへなとベンチに座った。ナイスファイトと言ってあげたい。その横を小学生がスタスタと歩いていく。♪ファイト!闘う君の歌を 闘わない奴らが笑うだろう~
目の前には9合目が見える。ここから1時間30分ほどである。
7合目から8合目までのコースタイムは70分であり自分は2倍ほど掛かっている。その計算で行けば、9合目や頂上までは往復で6時間ほどかかり8合目からの下山の分を考慮すると、日没が気になる時刻になる。ここで、くさのさんを待つことにした。
いろんな方が登ってくる。裸足である。
また、別の方も裸足である。
ほら貝を上手に吹いておられた山伏風の方であった。
8合目で合流し下山する。そして、温泉に浸かる。
温泉後は昼食と夕飯である。やっぱりラーメンであった。
この山は、作戦を立ててから挑戦しなければならない。
良かったことは、噴火しなかったことである。