■医王山・鳶岩(届かず)
8月になった。いつもは、避暑を兼ねて県外の少し高い山へ行っているのだが、今年もコロナの影響で出かけられない。かと言って地元の里山はこの時期登るものではないことは体験していた。くさのさんも空いているということで、いろいろ検討した結果、医王山・鳶(とんび)岩に決まった。ここは、自分は2013年に一度登頂している。
医王山といえば奥医王山の標高がいちばん高いので、ここを指すことが多いが、鳶岩も無視できない。
天候は不安定であった。百万石道路は霧で視界が20mぐらいしかない。おまけに雨も降って来た。そこで、西の空を確認しこの雨は直ぐに止むと判断し、登山開始である。
この山は富山県の山に含まれるが、石川県との境界なので向こうにも入っているだろう。ここは、富山県側から登らなければと言い聞かす。
登山口を登り始めて直ぐに、標識は2枚ある。道は二手に分かれているが、先で合流すると書かれてある。両者の違いは、上へ登る道は、500mの距離で合流点に着くのに対して、真っ直ぐの道は、ほぼ水平道を1kmで合流点に着くとあった。
山の人間なので、水平道なんか行くのは邪道ではないのかと意見が一致し、山越の道を選択する。
この山は最初は下山から始まる。ロープ場が沢山あった。
頭の中では、帰りは全部登りになるなあと考えていた。
標識は撮っておこう。
くさのさんは、ロープを使わないで降りている。
目的地の看板であるが、目視では分からなかった。
沢に到着である。ここが最低点でここから登りになる。
まあ、渡渉というほどでもない。自分の登山靴は4cm防水である。
ここから、カニの横ばいと呼ばれている難路に入る。
非常に危ない。
岩が下まで伸びているので落ちたら、サヨウナラになりそうである。おまけに、湿気があったり、苔が生えてたりと安心して歩けない。
くさりは、一部新しくなっていた。
くさのさん曰く、ここに道を付けるより、この上に作ればいいのではないか。まさに、その通りと思った。
くさのさんは中腰で対応されている。
心配していた雨も止んで、青空が見えて来た。
途中で休憩である。朝から目眩がしており、気温の高さから汗が滝のように出ている。
くさのさんは、ハンディ扇風機で一服である。
カニの横ばいを過ぎると、タテばいと呼んでいるクサリ場である。
くさのさんは鎖を使わず、フリークライミングでスタスタと登る。
自分も果敢に挑戦した。一度は登っているのだ。ところが、恐怖感がでてしまい、途中でリタイヤである。
くさのさんから提供いただいた、鳶岩である。
少し大きいのもある。
私は、タテばいの3分の1でギブアップした。足の疲労もあったが、一番は恐怖心であった。
くさのさんが下山されて、頂上で一緒に飲むはずだった、冷えたコーラをいただいた。
下山もなかなか大変である。ほとんど垂直にしか見えない。
もう少しでタテばいの登り口である。
さて、ここからがまた、カニの横ばいを通って下山しなければならない。私は、2種類の薬を服用してこれに備えた。
カニの横ばいに差し掛かった途端、私は滑落した。まあ、下まで落ちることはなかった。しかし、少し歩いて、再び滑落した。これで終わったと思ったが、ギリギリで停まってくれた。しかし、腕からは流血である。こんな場合は、気合で止血するのである。
帰りは殆んどが登りになる。何回も休みながらであった。
例の合流点に到着したが、もはや坂道を登ることは出来ず、水平道の方に向かった。距離は長いが、等高線に沿って登山道が切られているので、止まることはなかった。
水平道を歩く。
登山口の標識である。
下山後は温泉である。
ここに、汗まみれ、泥まみれ、血まみれの自分が入り、傷口を見せて了解を取ろうとした。
そうすると、男性更衣室に入って来られてすごく大きなカット絆2枚を貼ってくれた。お客の中に血を気にする人がいる場合があるという。もちろん、傷口を湯船に浸けることはしなかった。帰りにお礼を言うと、さらに絆創膏を2枚くれた。いい温泉に入れて幸せであった。
温泉後は、遅い昼食である。
くさのさんは、充実感でいっぱいという。自分は、日ごと落ちて行く体力を知ることが出来てまあまあであろうか。
機会があれば、再度挑戦したい。