安物の時計

■「死支度」(勝目 梓著、講談社、2010年)を読む。
 タイトルだけで本を選んでいるのでたまにはこういうことがある。この著者の本は読んだような読んでいないような何となく記憶にある名前であった。小説なので事実ではないと思うが、その突飛なアイディアに脱帽である。
 主人公は現在109歳である。80歳の時に死ぬことを決め、どういう風に人生の最期を締めくくろうかと考えたあげく、頭髪以外の女性の体毛を購入して布団とまくらを作りその中で断食しながら最期を迎えるのが一番いいと決め、約5億円の費用と26年の歳月をかけて完成させた。購入する金額は、一回に4万円〜6万円である。男性の物が誤って混入しないように剃る前後で確認してから買っている。常連さんもできたとか。その布団の中で最後を迎えようとしている時に、近所の人に見つかり救急車で病院に運ばれている。老人の死ぬ権利を題材にしているところが面白い。

■安物の時計
 ♪♪「あ〜 いつか〜 お前がくれた 安物の時計が〜」とは、エイチャンの歌である。記憶は疎いがゴールドラッシュのLPに収録されたように思っている。この中で「チィ チィ〜」というのが気に行って今の家人とのデートの時に車の中で歌って口ずさんでいた。(さぞ迷惑だっただろう)
 数年前、太陽光発電機構の付いた電波腕時計を買った。これは一生ものということで周囲に自慢しまくっていた。ところが、時計機構はいいが、ベルトのピンが摩耗して抜けて来た。針金で応急処置をしているが、5本ほどになりみっともない。メーカで修理を依頼すると購入金額の半分の値段を言われやめた。ロンジンは無料なのに。まあ、我慢の範囲である。最近、長針が2分ほど遅れることに気が付いた。フレコミでは、100年に数秒の狂いしかないとのことであった。しかし、長針がずれていても、チャイムがなるので、時計としては正確のつもりか。2分程度も我慢の範囲である。もう少しずれてくると新調しなければならない。今度買う時計は決めている。もちろん登山用の時計である。