ペンキ塗り

■「人間万事嘘ばっかり」(山田風太郎著、筑摩書房、2010年)を読む。
 忍術物をいろいろ書いていた作家ということしか知らない。過去の日記を披露しており、「私には、ジンツウリキがある。虫が好かん奴が片っ端から死んでしまった」というのが面白い。実は、自分もこういう経験をしている。気に食わない奴が自然に自分の前から消えてしまうのである。
 合計120以上ものエッセイ集であるが、何度も自分と似た考えであることに驚かされた。ホームレスを見て明日は我が身と思ったり、妙な親近感を持ったり、健康食についての辛口コメントなどなどである。図書館にはこの人の本がまだあったので何冊か読んでみたい。作家の日常がにじみ出ている。書庫にある数千冊が未読というのにも驚かされた。
 最期までエネルギッシュな書き方に圧倒されっぱなしで、さわやかな読了であった。

■ペンキ塗り
 今日、職場でペンキ塗りをした。思い出すのは卒業してすぐに入社した会社でペンキ塗が最初の仕事であったことだ。確か、梯子の上に乗っていたように記憶している。「あんちゃん、うまいねかぁ」と先輩社員におだてられ、いい気になってやっていたような記憶だ。季節がら今頃だったろう。正直自分には、素質があると思っていた。理由は、父親が左官職人だったからだ。しかし、その自信は見事35年前に砕かれてしまった。つまり、下手であった。この会社があれば自分のペンキを塗った個所を確認できるのだが、つぶれてしまったようだ。