ブラック企業

■「閑人生生」(高村 薫著、朝日文庫、2010年)を読む。
 前に読んだかな?と思ったが読んでなかったようだ。雑誌の連載を書籍にした形で3年間分である。どの回もうなづくことばかりであった。ほぼ同世代の作家である。その見識の深さと広さと鋭さには驚かされっぱなしである。
 一点のみ記して置きたい。
『この世に生まれたら、最後は老いて去ってゆくのが人であり、そのときだけは幸も不幸もない。老いをそういうものとして受け止めない限り、老人介護をめぐる不幸な過不足は続くに違いない。望み過ぎず、悲観しずぎず、優しすぎず、冷たすぎない。そんな自身のこえからを、思わず考えた。』

ブラック企業
日経ビジネスからの抜粋である。
「長時間勤務やサービス残業といった問題自体は以前からありました。仕事が厳しいという点では似ていますが、これまで多くの会社は時間をかけて若手を育てようという意識は持っていたのではないでしょうか。ブラック企業が従来と異なるのは、長期雇用を前提とせずに新卒者を「正社員」として採用し、違法な労働条件で働かせ、身体や人格が壊れるまで使いつぶす点にあります。一人ひとりの人材を時間をかけて丁寧に育てようという意識はありません。従来の日本型雇用や労務管理とは全く異なる企業が出てきたということです。
1つは大量に採用して厳しい業務を与え、使える人材だけ残してあとは辞めさせる「選別型」です。退職金は1円たりとも払いたくないので、パワハラやセクハラ、いじめなど様々な手を使って、自己都合退職に追い込むのが特徴です。
もう1つは「使い捨て型」です。こちらは長時間低賃金労働で社員を縛るのが特徴です。募集や内定の際に提示した初任給に比べて、実際に入社してから支払われる給料があまりに低いんですね。
 ブラック企業の存在は、企業と社員の信頼関係を破壊しかねません。自社には関係のないことと見過ごすのではなく、業界でまとまって入社契約時のガイドラインを作るなど、適正化を求めていくべきです。時間とコストをきちんとかけて人材を育てようとする企業と、違法な長時間を低賃金で働かせ、社員をどんどん使い捨てていくブラック企業が、同じ条件の下で競争するのは極めて不公平です。 」