八郎坂~材木坂

■八郎坂~材木坂

 登山をされる人は、雨の日を避ける傾向があると考えている。山の天候は変わりやすい。途中から雨に見舞われればそれはそれで納得できる。まして、出発時にドシャブリの雨では行かない人の方が多いのではなかろうか。

 かくして、くさのさんとぜんちは、このあまり人のやらない、出発時に大雨での登山を試みた。正確には山ではないので、登山とは言えないかもしれないが、その高度差、難易度、距離は、そこらへんの百名山登山に匹敵すると考えている。

 しかしながら、自分たちは、雨の山歩きが好きという訳ではない。今回の行動には訳があった。仕事が定休日なので、県外の登山を物色していたところ、今週も前回同様、すべて「C判定:登山不適」であった。しかし、県内も不適が多かった。いろいろ探して、弥陀ヶ原と美女平は「A判定とB判定」という天気情報予報サイトがあった。

 山の天気予報サイトにはいろいろあるが、過去の苦い経験などから、一つのサイトに決めている。そうして、この予報を信じていたわけである。登れば晴れているという期待である。それと、当日の雨雲の位置もチェックした。この日、市内はどしゃ降りであったが、雨雲の範囲は旧市内までで、山の方は少なかった。登山口は晴れているか、小ぶりだ!という期待があった。

 最初の計画では、立山駅に駐車して、バスで称名滝口まで行くことにしていたが、始発の一時間以上前に到着したので、自家用車で称名滝口まで行って、帰りにバスで車を取りに行くことに変更した。この場合は、二人乗車する必要はなく、一人で行って運賃は折半である。

 自分は、今回のコースは2~3回歩いていると記憶している。

 称名滝駐車場に到着したが、雨は本降りである。あれッ!小ぶりか、降ってないはずではなかったのか。どうする!どちらからともなく、八郎坂方面に歩き始めた。傘を差しながらである。

 登山口の標識は立派である。

 少し登って、滝が見えるところを撮る。今日は、ハンノキ滝の勢いがいい。ハンノキ滝の標高差は500mほどで、日本一の称名滝の350mよりも高いのであるが、常時流れてないので認定されないと聞いたことがある。

 雨は弱まるどころか、猛烈な勢いで叩きつける。今日の自分のウエアは、安いモノで決めている。ウエアとズボンはクライミング用と称して販売されていた。靴もキチント登山靴として販売されていた。3点で1万円しない。

 久し振りに登ったからか、悪天候なのか分からないが、息が切れて仕方がない。吐気も襲って来た。

 傘は、枝に引っ掛けて骨が折れてしまった。もう使い物にならない。

 雨は、弱まる気配はなく。容赦なく、降り続ける。ここで、どちらの口からも中止という言葉が出てこなかったのは、天気サイトの予報で登れば晴れているということを信じていたからである。

 最初の展望台に到着した。ここまで、長かったね。

 くさのさんの写真はいい写真が多い。自分はこんな顔をしていたのかとあらためて驚かされる。この写真は少し説明が必要であろう。何気なく見ると、自分はナニをしようとしているか、し終わった後に見える。しかし、違う。今のズボンには、スマホ入れがついており、今回はカメラを入れていた。このポケットは防水で外に出せるようになっている。称名滝の絶景を撮るべく、カメラを探っている写真である。まあ、いくら何でもベンチに登ってナニはしないよな。

 これが、その写真である。注目は、左側の称名滝の途中の水しぶきと真ん中のハンノキ滝である。

 くさのさんも傘をさしながら登って来られる。今回も半そでである。

 ひどい登山になったと中止する勇気がなかったことを悔やんでいたが、嬉しいこともあった。シラヒゲソウである。ここにしか咲いて無いとある図鑑にある。

 そして、シラヒゲソウの蕾は初めて見た。これはラッキーである。

 くさのさんが、イチゴと言って撮った。モミジイチゴのようであるが、自分の記憶では、あれは黄色い実ではなかったろうか。

 二つ目の展望台に到着である。ここから撮ってもいい写真は撮りにくく、少し進んだところからがいいと経験者なら知っている。

 木が邪魔であるが、こんなもんだろう。

 雨は一向に止まず、とうとう登り切った。ここから、美女平方面に歩くのであるが、やはりゴールはあった方がいいので、弘法のトイレをゴールにした。この時自分のカメラは異常を発した。内部まで水が浸入したらしく、ボケ呆けで映っていた。しかし、パソコンに取り込むと、この通り綺麗に撮れている。カメラの液晶の周辺に水が入ったものと思われる。カメラを入れていたポケットは防水であったが、カメラは防水ではなかった。

 乏しいながらも、花を付けている木がいくつかある。これは、ホツツジのようだ。山なのでミヤマホツツジと言いそうになるが、雄しべが曲がってないのでホツツジである。

 少し戻って分岐点に到着した。自分たちは八郎坂方面から登って来て、弘法方面で写真を撮った。次は美女平方面に遊歩道を歩く。

 まあ、遊歩道は手入れされており助かったものの、落ちたササで滑る。

 喜びもつかの間、ここで終わりと手入れがされてない場所に着く。それでも、木道は見えるので問題ない。予報通り雨は止んだ。いい風も吹いてくれて、快適な歩きに変わった。全て下りというのもいいね。

 どこまで下るんだという階段もある。長かったね。

 自分は2回しか滑らなかった。

 この周辺では一番大きい杉の木である。周囲は10m以上とのこと。

 遊歩道を通って美女平へ行こうとしていたが、通行止めであった。ここからは、車道歩きになる。

 こういう看板は車道歩きでないと撮れない。

 しかし、通行止めが終わる区間から再び遊歩道に入る。しばらく歩くと、その足場の悪さと最終バスに間に合うかどうかの問題があり、一般ルートにはない道を歩いて車道に出た。いわゆる、ヤブコギである。

 花は、ウメバチソウが盛んだった。

 うまそうなイチゴである。

 拠点となる看板は撮る。

 あまり下がってないね。最終バス時刻に間に合うのかが最大の問題に浮上してきた。

 まあ、ここからも滝を撮る。

 ブナが増えて来たと思ったら、クマ棚のようなモノがあった。

 まだ、200mほど下がらなければならない。

 これは、タマアジサイである。

 もう少しである。反射板に番号が振ってあり、それを頼っていた。

 美女平の駅である。実は、ここで体調が悪ければケーブルで下るということも選択肢の一つに入っていた。確かに、体調は悪かった。急に温かく感じる場所があり、このままでは持たないという自分がいた。しかし、流れは止められない。

 最終バスまでに車を取って来ないと7km歩かなければならないので、くさのさんには材木坂を先に行ってもらう。

 ここで、自分の体調は悪化の一途であった。暑い、汗が滴る。2Lの飲みものも足りないような感じである。特に苦しめたのは、シモヤケである。下山なので足が靴の前に進む。そうすると、しもやけ部分が狭くなって圧迫され、激痛が走る。

 しかし、これは序の口であった。軽い頭痛と足の痙攣が発生し、自分の判断では、熱中症の第一段階と考えた。この場合の対処法は涼しい所で体温を下げるしかない。日陰で腰を掛けて風が吹くのを待つ。3~5分ほどで少し歩けるようになったが、シモヤケの激痛は容赦なく、ついに、10歩歩いて休憩、5歩歩いて休憩と、とうとう動けなくなった。これは遭難かな?

 それでもだましだまし、足を前に出した。ハシゴ場である。新しくなったようだ。

 アミノバイタルも服用し、少し歩けるまでに回復する。

 この坂の由来になった材木石である。

 このように岩から突き出しているのである。

 普通の人は、ケーブルカーからでは、このように落ちているのしか見れない。

 ここでも、牛歩ならず、亀歩であった。くさのさんからLINEが届くもすでに1時間以上待ってもらっている。

 すぐ下に駐車場が見えているにもかかわらず、動けない。しびれを切らしてくさのさんが登って来てくれてリュックを持ってくれた。もう30mが動けない。やはり無理だったんだ。

 駐車場で倒れるように寝ている。足の痙攣が収まるまでこの状態である。

 登山ウエアであるが、全部ダメである。発汗しないので、びちゃびちゃのままであった。やはり、高いのはいい。年齢を重ねるとウエアの性能で守ってもらわなければならない。これは、普段使いにしようか。

 何とか動けるので、最短の温泉に向かう。

 やはり温泉はいい。濡れたウエアも着替えられた。しかし、お昼も無しであったのでお腹は空いているはずであるが、吐気があり、物を受け付けない。

 くさのさんには、自宅玄関前まで送っていただき、ありがたかった。

 帰宅後はもっとひどいことになった。両足の痙攣である。いままで経験したことのないような痙攣である。幸い、登山で使用する痙攣対応用の芍薬甘草を持っていたので服用しようとするが、這ってリュックの場所まで行った。服用後は20分間で利き始めることが分かっていたが、この20分は地獄の苦しみであった。足をどの方面に向けても痙攣し、痛くて痛くて声も出る。

 一日遅れのブログ更新になってしまった。