山は一生かけても終わらない

「山の旅 本の旅」(大森久雄著、平凡社、2007年)を読む。
 最初から最後まで感動の連続であった。昔から現代までの山登りと文学を見事に俯瞰している。いくつもの名文や歴史が日本とユーロッパアルプスで展開されている。
 百名山踏破とか二百名山、三百名山と言われているが、1,500以上の山に登った人も登場しており、驚いた。
 山は奥深い、参照文献は205冊あり、自分が読んだことのある本は2冊のみであった。
新田次郎の「孤高の人」のモデルになった加藤文太郎について、先に彼の書いた「単独行」を読んで2冊ともに感動した覚えがあるが、この本では加藤文太郎、単独行の2単語しか出てこない。おびただしい資料のエッセンスを与えてくれた。
 また、ヨーロッパアルプスへの憧れが湧いてきた。自分はエベレストよりユングフラウモンブランに引かれる。昔熱心に勉強したドイツ語のためかなあ。
 英語と独逸語に磨きをかけて、ユングフラウ登頂とモンブランの周りの180kmのトレッキングコースを計画しようか・・・。
 と、思っているだけで夜が更けていく。
 最後に地元の登山家の言葉が良かったのでここに記しておきたい。
「山に登ることは山で寝ることでなければならず、山から出たばかりの水を飲むことでなければならない」(田部重治(たなべじゅうじ))
 山は奥が深い。一生ものだ。体力のみならず、気象、地理、語学、医学と
あらゆる知識が要求される。気分はヨーロッパである。さしずめ、語学習得の
計画でも立てようかなあ。