単独行者を読む

■「単独行者」(谷 甲州著、山と渓谷社、2010年)を読む。
 登山雑誌に連載されていたのが単行本化された。残念なのは挿絵が省かれている。雑誌には毎回挿絵があり、読んでいて理解しやすかったのにと残念である。加藤文太郎伝である。新田次郎が「孤高の人」で取り上げているので、新・加藤文太郎伝となっているのだろうか。
 気が付くと夢中になって読んでいる自分にハッと気付かされた。感動のしっぱなしだった。加藤文太郎の「単独行」も新田次郎の「孤高の人」も読んでいるので、その違いや同じ内容が分かり、新たな感動につながった。ほとんど脚色してないのではなかろうか。そうであれば、事実に近い内容となる。そうか小説でなく、伝記なのだ。
 文太郎のルートに厳冬期に、ザラ峠から針の木岳経由大町のルートがあった。彼も佐々
成政を意識していたのかと驚いた。自分は厳冬期などはもっての他で、夏道でも行ける自信がない。遭難の原因を滑落としていた。「孤高の人」とは違うようだ。脚色してあることも分かった。