良い本と出合えた

■「南へと、あくがれる」(乳井昌史著、弦書房、2010年)を読む。
 名作を訪ねてその背景やゆかりの土地を訪ね歩く。正直引き込まれてしまった。新聞連載のエッセイを単行本化したものだが、随所に見られる短歌、俳句などと関連する国内外の文学書の引用には敬意を表したい。ところどころに山に関する章もあり、夏目漱石山頭火らが山に対峙していたことが分かり面白かった。自分も感銘を受けたソローの森の生活も引いてあり、著者と近い関係が分かった。特に、ホームレスの男性に接する場面では、
同類と見られたらしい、には笑ってしまった。山好きとホームレスは同類かもしれない。
 著者自身で歩き、感じたことをエッセイにしてあり良本であると思う。自分もこんな上手い文章が書けたらと思う。