登山禁止令

■以前、登山専門店へ行ったとき、11月の雄山登山でアイゼンが外れるということを店の主に訴えたところ、一度見てやるから持って来いと言われていた。今日は多忙な一日ではあったが、登山靴を履き、アイゼンを持って登山店を訪れた。
 登山靴もアイゼンもこの店で買ったものではないので、カンジキを買ったついでに見てもらうことにした。今回対応してくれたのは主ではなく、若い男性であった。カンジキではお客扱いをしてもらったが、アイゼンと靴を見るやいなや突然、顔つきと口調が変わった。この靴で、このアイゼンで山へは登らないで下さい、と繰り返した。別の店の人もそうだ、そうだとうなづいた。これは、登らない方がいいですよ、というニュワンスではない。登るな!というニュワンスである。こっちも頭ごなしに言われたものだから、少しムッ!としていたと思うが、これまで2回ほど雄山へ登頂しているということを控えめに言ったところ、語気が荒くなった。地元の人間は単に立山と軽視しているようだが、3000m級の山である。(そんなことは、ワカッとるわい)この靴でアイゼンを付けると、外れてしまう。そのメカニズムはアイゼンはグラグラになっており、クツが柔らかいので効かない、ということだ。「ピンポ〜ン。」参りました。アイゼンを付けるには底が曲がらない冬山用の靴でないとダメである。これまで、事故に合わなかったのは単なる運でしかない。「絶対に山へ登らないでください。」(分かったちゃ)
 自分の靴は量販店で買った夏向きの靴である。どうせ冬用を買わなければと思っていたのでちょうどいい。どれがいいか推薦して欲しいと謙虚に教えを請いだところ、いつ、どんな山へ行くかによって靴が違うとのこと。(エ〜イ、面倒くさい!)「4月、5月に雄山へ行くだけ」というと4万円のものと6万円の靴を出して最低でもこの位とのこと。
 登山の安全性は装備で決まると思ってはいたが、何十万円もかかってしまう。ということは、装備が準備できない者は山へ登るなということだ。冷静に考えれば、至極当たり前のことであった。
 ホームセンターにカンジキを買いに行ったが、置いてなかったので、登山専門店で買った。買うときにも一悶着あった。木枠と麻縄の昔ながらの安いカンジキとアルミパイプにバンド付きの高いのがあった。もともと1000円のカンジキを買うつもりであったのいで木枠のを手に取ったら、毎回手入れが必要とのことそれをしないと直に壊れるということで、手入れのし方を知らず、おそらく手入れをしない自分としてはアルミパイプの高いのを買わざるを得なかった。しかし下手したら事故に会うかも知れず、今回の訪問は大マンゾクであった。