三日月

■「おじさん入門」(夏目房之介著、イースト・プレス、2005年)を読む。
エッセイコーナーで見つけた。こういうのは思考が軽くなっていい。
公園での中国体操から喫茶店での珍事が多かった。作家のネタの仕入れ先が喫茶店での会話であることが分かってよかった。毎日通っているような感じだ。昔、行き付けの飲み屋や喫茶店を探していた時期があった。ボトルキープを3か所していた時代があった。バブル華やかりしころの話である。今の行き付けは「ドーナツ氏」だろうか。アルバイト店員ばかりで歳も自分の子供ぐらいなので当然会話はない。何かさびしい気持ちが起こった。
30年間連れ添った奥さんと離婚されていることにショックを覚えた。最後に「ありがとう、そして、ごめん」と結んでおられたのを見て感涙に咽いだ。

■三日月
 寒い日であった。特に帰宅時は冷たい風が吹いていた。歩きながら東京の風に似ているなあと思っていた。ふと、空を見上げると青空が残っている。日も長くなって良かった。その青空から鋭い冷酷な三日月が照っている。冷たい日には三日月が良く似合うと思いながら帰路についた。