つくし

■「生きられる孤独」(芹沢俊介・須永和宏著、東京シューレ出版、2010年)を読む。
 企画だと思うが、二人の手紙のやり取りで構成されている。面白い。最近(ここ10年間)新聞で親殺し、子殺しが多く報道されるにつけ、何が原因なんだろうかと考えていた。自分も子供を持つ親である。パソコンが悪いとか、テレビの殺人シーンが悪いとか、まんが本が悪いとか言われているが、どうも違う気がしていた。この本を読んで少し分かったような気がした。失敗やミスを認めない社会、一度落ちると二度と這いあがれない社会、金だけに価値観を見出す社会、努力しても報われない社会、こういう社会にした一端は我々の世代にある。
 なぜこの本に引き付けられたのかが最期に分かった。須永氏は、携帯電話拒否派である。自分と同じである。また、車使用をやめ、30分の徒歩通勤をしている。これも自分と同じである。正直驚いている。携帯電話を持たないことについて、公衆電話が少なくなっていることを嘆いておられた。自分も困ることがある。年に数回山小屋をに予約を入れる時は正直困った。なぜならば、登山は休日に行うことになり、天候が確定するのが2日前くらいなので平日に電話をしなければならない。しかし、年に数回の必要性のために年間数万円も支払うような愚かなことはするつもりはない。

■つくし
 子供が小学校の時、学校からの宿題で秋見つけというのがあった。これにちなんで春見つけである。職場の横に墓地があり、その脇につくしが咲いているのを今年初めて見た。つくしは咲くというのが正しいかどうかは、分からない。おそらくもっと早くから咲いていたのだろう。こういうのを見入る余裕が必要なのだと思う。つくし、漢字で書けば土筆である。確かに、地面の下から筆のような形状の物体が付き出ているようにも見える。古人の知恵に脱帽である。