朝ラー

■朝ラー
 職場近くにあったラーメン屋さんが昨年店を閉めてしまった。2年近くの開業だった。便利がいいのと、味が好みであったので月に2〜3回は食べていたようだ。まだ、麺類のHPである「麺喰い隊」を作る前であったが、味噌味、塩味ではランキング1位であった。
 私の評価ポイントは単純である。スープをレンゲで一口すすり、「体が安心な食べ物として受け入れている」「幸せな気持ちになる」「余韻が続く」というものを登録している。
 寂しい思いをしていると、タウン誌に別の場所で移転開業していることが案内してあった。
 私は、さっそく向かった。しかし、開店時間は22時〜7時で日曜日は休業であった。繁華街にあるので、飲んだ後の締めとしてや夜の職業の方の朝用として考えているようであった。
 参加しているコミュニティーに「麺倶楽部」(喜太郎さん主催)があり、掲示板で「いったいいつ行けばいいのか」と、このことを書いたところ、まんぼうさんより、「私なら迷わず朝ラーにします!!」という助言(?)があり、今日決行した。
 朝4時半、山へ行く時のような時刻に起きる。歩いて30〜40分、天候は雨の予報であった。市内なので、明るい。5時5分に到着した。おなじみの顔が二人見える。席に着くなり「味噌」と頼む。
 出されたレンゲやドンブリの下の金属製の皿はお馴染みである。スープをすする。「なんか塩が濃い」ここのラーメンは、味噌とスープの絶妙なバランスが最高点の理由であった。朝だから舌が変わっていることもあるが、登録保留扱いにした。今度塩味を試してからの判断になる。
 お金を払うときに「券売機」を知った。客はだれもいない。主人は覚えていてくれた。
 主人: 「前の店でも来ていただいていましたね」
 ぜんち:「ええ、寂しい思いをしていました」
 主人: 「また、よろしくお願いします」
 ぜんち:「ええ、朝が早いので・・・・・」
 帰り際、余韻はあるかと確認したが、良い余韻はなかった。味噌を変えたのかな。などと考えていると、朝が明けてきた。雨もひどくなってきた。
 目の前に映る立山連邦を眺めながら枕の草子を思い出していた。
 『春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。』