自腹

■「縮小社会への道」(松原 寛編者、日刊工業新聞社、2012年)を読む。
 目から鱗とはこういう本を指すのだろう。自分の考えに近く感動した箇所が沢山あった。
「悲観的な予測よりも、楽観的な期待にすがり、都合の悪いことには目を閉じて生きる方が楽である。」
「資源の消費を縮小することによって社会は持続することができる。」
「除染といえば放射能がきれいになるというイメージだが、〜単に移動させるだけである。」
二酸化炭素の排出増が温暖化の原因である。」昔そう言われたが、素人目には信じていない温室効果ガスとしては水蒸気もあり大気成分の僅かな二酸化炭素が影響するとは未だに信じていない。
「成長パラノイア(成長偏執狂、成長至上主義者)といわれる病気がある。これらの人々は『幸せは金で買える』、『本人の努力が足りないから貧乏になるのだ』と信じる。」
「物質的な豊かさと経済効率よりも『人間にやさしい社会』が必要である。」
ブータンでは〜『豊かさで幸せは築けない。人間の精神が軽視されるから。』国の基本は『ゆっくりやるべし』である。」
「持続可能な発展とは、将来の世代が彼らの必要を満たす能力を損なうことなく、現在の世代の必要を満たすような発展をいう。」
「技術の進歩は無限だから何でも技術で解決できると思うのは信仰にすぎず、技術には限界と負の側面がある。」
「夢を持て、努力すれば報われる、といった言葉は運よく成功した少数の者がいう言葉で、良い刺激になる場合もあるが、踏み台になった大多数の人々が被る不利をすべて個人の責任にして格差を正当化するためにも一役買っている。」
「ものはありずぎない方が幸福で質の良い社会を造る可能性がある。」
「再生エネルギーの促進よりも、電力需要を削減した方が効率的で環境負荷が小さい。」
「機械工学の技術体系は、材料力学、機械力学、流体力学および熱力学が上位にある。」

■自腹
 以前、勤めていた会社でもにたようなことが繰り返されていた。
 羽毛布団、電気毛布、パソコンなどキャンペーンと称して従業員にノルマを押し付け結局自腹で購入している人がほとんどであった。
 あるブログからの抜粋である。
「販売員には、アパレルショップのブランド衣装などの試着販売が強要されるらしいのです。試着販売とは、マネキンとして店頭に立つ場合、そのブランドショップの衣類を身につけますが、それは制服として支給されるのではなく、販売員が自腹で購入したものなのです。特に彼女ら自身が憧れていたブランドの衣装ですから、多少高額でも購入する。手取り30万円とはいっても、そうしたブランド衣装だけで月に20万円近くかかる人もいて、そうなると生活費を削るか、借金するしかないのです」
 いくら憧れのブランドショップでの仕事とはいえ、そこまでして働く価値があるのか?とも思うかもしれないが、このご時勢、特に若い女性への求人が集中しがちなアパレル業界だけに、なかなか退職を踏み切れないケースもあるという。
部屋中、ブランドファッションだらけのマンションに住みながら、自己破産の秒読みに脅えながらの生活を送る人たち。
「結局、この大不況でブランドものが売れない。だから会社は従業員に商品を売りつけ、延命を図ろうとするのです。彼女たちを可哀想だとは思いますが、好きで選んだ道ですからねぇ」
 その仕事が好きで選んだ人生の先にあるのは、貧困か?自己破産か? では、あまりにも悲しいが、それが今の日本の知られざる現実なのである。