追い出し部屋

■「西行の旅路」(岡田喜秋著、秀作社出版、2012年)を読む。
 大作である。10年に渡る調査及び足跡をたどりながら数十冊の文献をまとめたものだ。一生物だと思うが、著者は55冊目であった。これまで、西行については断片的に知識があったがこの本で考えが変わった。すごい人であった。和歌も素晴らしいがその生き方とくに歩いて行脚する姿に魅かれてしまう。それにしても時代背景がよく調査されており脱帽であった。

■「追い出し部屋」の背景と対策
 週間ダイヤモンドからの引用である。
「追い出し部屋」とは、パナソニック・グループの従業員がそう呼ぶ、リストラ対象社員を集めてまとめて置いておく部署のことだ。
これらを「工夫」と呼ぶのがいいかどうかは迷うところだが、会社としては、実質的には指名解雇したい社員を自発的な「自己都合退職」に誘導するための有力な「仕組み」だ。
表向きには、仕事がある先への人事異動であって指名解雇ではないが、心が折れて自主退社したくなるように社員を仕向ける仕組みである。しかし、社長の一声で問答無用にクビが宣告されることの多い中小企業の解雇に比べると、いくらか丁寧で優しいような気もして、一概に非難する気にもならない。
転職先が見つかるまでは、元からいた部署にいるにせよ、「追い出し部屋」に異動させられた後にせよ、自分から辞めてはいけない。これが原則論だが、心と体(特に前者)がどこまでもつかは個人差があるだろうと思う。 「会社都合は不名誉であり、経歴に傷が付く」というような脅しを巧妙に述べられることがあるかも知れないが、無視しよう。
「追い出し部屋」は使いようによっては、企業にとってコスト削減につながる工夫と言えないこともないが、そのあり様は、企業にとってもリストラされる社員にとっても「不毛」だ。