無職は夢職

■「君は歩いて行くらん」(早坂 暁著、求龍堂、2010年)を読む。
 最初の内容や写真を見て、一度読んでいる本であることが分かった。しかし、筋が思い出せないので、最後まで読んだ。しまいには、初めての本だったかも知れないと思うようになった。人間の記憶とはあてにならないものだ。
 生け花の先生とその周辺の人達の話である。戦後の話が中心であった。驚いたのは、本人がまだ生きているらしいということだ。伝記にはちがいないが、少し変わっている。

■無職は夢職
日経新聞からの抜粋である。
「世の中に出ているのはネガティブな情報ばかりで、就職していない=ダメ人間というとらえかたをされがち。自分を悲観してしまう人も多い」と切り出した。「世の中にはなかなか出ない無職のメリットについて発信し、経験した人間だからいえる無職の大変さなど、ありのままの姿を伝えたい」
飲食メニューとして、ご飯に焼肉のタレで味付けしたモヤシいためをのせた「無職丼」(200円)、具のない味噌汁「無職汁」(100円)もあり、イベント途中で完売していた。
無職時代の暮らしぶりや困ったこと……。壇上の出演者から生々しいエピソードが披露されていく。無職時代は一日中、食べて寝て飲んで過ごしたという人もいれば、図書館で本を読み友人との交流を楽しむといった規則正しい生活を送ったという人もいて様々だ。途中で「無職になるために3年間働いた」「『無職』は『夢職』」などの名(迷)言も飛び出した。
「無職時代があるからこそ、今の自分がある」――。出演者たちが訴えるメッセージは説得力がある。南アフリカで非政府組織(NGO)活動に従事し、現在、南ア観光ツアーを企画しているという男性(30)は「実用的な情報はやや不足していたが、無職を乗り越えた人たちにはそれなりのスキルがあるのだな、と感じた」と話す。「職場で嫌なことがあったが、前向きにがんばろうという気持ちになった」(20代の女性会社員)との声も。
 「無職」について考えるイベントは、決して無職を称賛したり奨励したりするものではない。政府の産業競争力会議も成熟産業から成長産業への人材移動を後押しする雇用制度改革の骨格を決めた。人材の流動化が進むにつれて、一時的に「無職」の立場に置かれる人も増えるだろう。肩身が狭いと思われがちな無職だが、「取り組み方や考え方次第でこんなにポジティブになれるのだ」と私も気付かされた。イベントを終えて会場を後にする人たちもすっきりとした表情だった。