危険なシグナル

■「生きる力」(なかにし礼著、講談社、2012年)を読む。
 出だしから芸術的というか詩的な表現に心を奪われた。カフカの小説をモデルにしているところが流石だと思う。
「私は人間でもない。私自身でもない。ただの生き物なのだ。」
「私にとって日常生活というのは極めて非現実的であり、日々を夢のように過ごしている。」
「今より後、生活を受け入れることは、もはや我々自身に対する冒涜に過ぎまい。」
「よりによってこの俺ががんになるなんて」
「国というものは情報を隠すし、必ず加害者側の利益保全を考え、犠牲者側には立たない」
「私自身もこんなふうにして人生は幕を閉じるのかと、死を受け入れるための心の準備に取り掛かった。」
「私の中には、何かをやるためには何かと別れなければならないということが鉄則としてあった。」
「確かに一度は死んだ。全てが真っ暗になった。しかし、数時間後、生き返ることができた。」
「私は希望なき世界に沈んでいた。」
「その日から、私は猛烈な勢いで本を読み始めた。」
「子供の時の侮辱はもっともつらいもので、生涯、消すことのできないものなのだ。」
「日頃から自分の精神を鍛えるための読書を休みなく続けていくこと。」
「がんさえも“我が友”と思いつつ、それと正対する。」

■危険なシグナル
日経ビジネスからの引用である。
「特に重要な危険シグナルは、血糖値、コレステロール、血圧、肝機能の四つ。しかも、この四つが深く関係しているというのだから面倒だ。一つが悪くなると悪循環を繰り返して、老化や生活習慣病の根源でもある動脈硬化に結びついていくのである。動脈硬化とは、文字通り、血管が硬くなること。
過食、運動不足、肥満などで内臓脂肪がたまると、インスリンの働きが悪くなることが知られている。これが日本人に多い2型の糖尿病だ。糖尿病が進むと細胞の破壊が進み、失明、足の壊死(えし)、腎不全など全身に深刻な合併症が起きる。早期発見・治療が重要な理由だ。
「高血圧は動脈硬化の原因でもあり、結果でもある」と澤登院長は説明する。血圧が高いと、血管の壁に負担がかかって内側の壁に傷がつき、そこに脂肪がたまりやすくなるからだ。
 そうして血管の内側が脂肪で埋まっていくと、血液が通りにくくなる。すると、さらに血圧を上げないことには、きちんと血液が全身に回らなくなる。
 こうして高血圧と動脈硬化の悪循環が起きるわけだ。最終的には血液が詰まって心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞を引き起こしたり、血管が破れて脳出血動脈瘤(りゅう)破裂を起こしたりする原因となる。
 「高血圧の原因は遺伝が3割、生活習慣が7割」と澤登院長はいう。予防には、やはり適度な運動と食生活の見直しが大切だ。
。「結果的に、脂肪肝のある人は、糖尿病の予備軍と考えたほうがいい」と中田院長。さらに、「γ-GTPの値も重要だが、長い目で見ると、ウイルス性肝炎の可能性を示すGOT、GPTの変化にも注意してほしい」という。ウイルス性肝炎が慢性化して、肝硬変、肝臓がんに移行する恐れがあるからだ。
酒を飲まないからと安心してはいられない。飲まない人の脂肪肝が増えている。肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれるように、アルコール、暴飲暴食やストレスにもじっと耐え、代謝や解毒といった体に欠かせない働きをしてくれる頼りがいのある臓器だ。だが、自覚症状が出ないからといって安心してはいけない。逆に、自覚症状が出てきたときはかなり病気が進行していると考えた方がいい。
代謝機能が衰えてくるので、若いときと同じ量を食べていてはシグナルは悪化する一方。特に、ラーメン、揚げ物は控えめに
強いストレスを連続して受けると高血圧の元。きちんと睡眠をとり、趣味や入浴でストレス発散を。自宅の近くに信頼できるホームドクターを見つけておくことも重要」