解雇規制の緩和

■「語りかける山」(飯田年穂著、駿河台出版社、2011年)を読む。
 大学の先生の本である。約60冊の山の本の中から一部抜粋して解説されており、いい本であった。
 この先生も山の本を読んで元気になったりするらしい。自分も同じである。しかし、コレクションしようと言う気がない。もう少し書斎が広ければと思うが・・・・。
「山とは悪魔の住処にほかならない」
「日本の山登りの醍醐味をいちばん味わせてくれるのも冬山だろう」
「山の基準は千フィート(305m)」
「山を単一の基準にしたがって定義するのは困難」
「山高きが故に尊からず、樹有るを以って尊しと為す、人肥えたる故に尊からず、智有るを以って尊しと為す」
「武器も機械も持たない人間の、無限の力、豊かさ、雅量、自由の欲求」
「山をやる人たちを、何となくヘンジンのような目で見るところがあったと思う。」
「ただ、百名山だからというだけで山に登るような登山者」
「意思のあるところに道はある」

■解雇規制の緩和
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
「全国(東京、大阪、京都、仙台)のハローワークで、ランダムに若者500人を調査した。そのうち、大卒後正社員となり、しかし自己都合退職してしまった者は189人であった。
少なくとも、この調査から、「自己都合退職」は若者が気まぐれで、甘えているから7割に上っているのではないことは推察できる。これが、「解雇」の実数を減らしている。「解雇がしにくいこと」の問題以上に、「解雇」をせずに、不法に「辞めさせている」という実態があるわけだ。
違法行為が是正できずに横行しているために、「解雇」という法律上の形式ではなく、自己都合という虚偽の形式に追いやられるのであり、そもそも「厳しい解雇規制」に阻まれて、辞めさせることができないなどという問題が主要な問題になっているわけではない。
企業がこうした「自己都合退職」の強要を行うのは、「退職」の形式をとりたいからだ。解雇の扱いとなれば、裁判係争のリスクが生じる。また、退職勧奨によって、会社都合退職の扱いとなれば、国の助成金などで不利になるかもしれない。だから、「自己都合退職」を偽装する。では、解雇規制を緩和すれば、こうした不当な扱いは減少するのだろうか。
結果的に、辞めさせたい社員がいれば、組織的なパワーハラスメントを行うことも手段となりえる。組織的にいじめ、職場の中に「居場所がない状態」を作り出して、自分から辞めざるを得ないように仕向ける。だが、この場合にも、同僚が被害者を助けたり、法律問題になることは、現実にはほとんどない。
「俺的にだめだから解雇」といった、完全に無法な解雇が横行しているのが日本の解雇の実情である。
このような状況で、解雇規制を緩和したらどうなるか。一部の論者には「解雇規制の緩和によって、ブラック企業がなくなる」とか、「若者の雇用が改善する」などという主張が見られるが、まったくの間違いである。
ブラック企業では、「予選」や「試用期間」などと称した違法解雇が横行している。例えば、ある気象予報大手の会社では、入社後の「予選」の結果、自殺にまで追い込まれる事件が発生している。
「予選」期間中、「予選に残る」ために200時間を超える長時間残業を強いられ、半年後に「予選落ち」を宣告されて、自殺に至ったのだ。もちろん、労働基準監督署からも過労自殺として認定されている。「解雇の脅し」は、違法労働と、心身を蝕むまでの過剰労働の温床となるのである。
こうした世論を背景に、政府や経済界は、「解雇しやすい正社員」として限定正社員や、さらには「ジョブ型正社員」を導入するとしている。限定正社員の特徴は、勤務地や職務、労働時間に契約上の「限定」をかけるというものだ。その結果として、通常の日本型正社員よりも、解雇要件が緩和する可能性があるという。」