50歳過ぎ突然の配転

■「激走!日本アルプス大縦断」(NHKスペシャル取材班著、集英社、2013年)を読む。
 日本毎から駿河湾まで名峰を串刺しにしながら走る、トランス・ジャパン・アルプス・レースの取材本である。
 自分は基本的にテレビを見ない方だと思う。しかし、この番組は3回見ている。それも偶然にチャンネルをまわしてのことである。415kmの山岳マラソンである。映像でも見ていたので、涙無くしては読めなかった。本では、映像に写らなかったこと沢山でてきて、その度に感動があった。
 富山のミラージュランドを出発点とし、早月尾根を使って剱岳に登り、そこから立山薬師岳黒部五郎岳槍ヶ岳上高地へ降りる。北アルプス中央アルプス南アルプス百名山をスルーして最後は、85kmの舗装道路を走って静岡へ着く。超人達のレースである。本では、トレーニング内容も紹介されているが、度肝を抜かれる内容であった。
 100kmマラソンに参加するために自宅から50km走って行くことや、60階のビルの非常階段を毎日3往復するなど、けた外れであった。
 動機は、メタボ対策という人も数人いた。28人全員の顔写真が最初に掲げてあり、めくりながらの読書になった。最高齢は50歳の女性であった。
 このレース、賞品も賞金もない。自分の達成感のみがご褒美である。時間ができたら同じコースをたどってみたいものだ。

■50歳過ぎ突然の配転
日経新聞からの抜粋である。
「50歳を過ぎたら会社員人生も終盤のはずだが、もはや安穏とできる時代ではなくなった。
00年のピーク時に年約700万台生産された三菱の携帯電話も、デジタル家電の価格破壊の波にはあらがえなかった。かつて花形だった携帯事業の歴史は08年3月、静かに幕を下ろした。
重さ100グラムの携帯の世界から800トンの発電機の世界へ。右も左も分からぬ技術に、周囲は知らない人ばかり。「やめてまうかな……」。50歳を過ぎてからの新天地に森田はたじろぎ、迷った。」