心を壊す職場

■心を壊す職場
週間ダイヤモンドからの引用である。
ブラック企業の職場には社員を精神的に悶えさせる構造がある。社員が過大な業務や成果を要求され、競争が激化している職場環境を、「グローバル化の時代だから仕方ない」などという理屈で覆い隠すことには無理がある。
「柔軟な職務構造」のもとでは、抜け出そうとするほどに、それができなくなりますね。私の観察では、プロ意識を持ち仕事にのめり込むタイプは、「柔軟な職務構造」ではいいように使われ、磨滅していくことが多いように見えます。その一方、中途半端なプロ意識で職場の空気を察知し、うまく立ち回る人が得をする。
大半は、死ぬ直前に「もう、会社を辞めたい」と家族などに漏らしている。しかし、辞めない。疾患の症状が進んでいることもあるのかもしれない。そして責任感が強いから、仕事や会社、さらに家族などに対し、思うことがあるのではないだろうか。
長時間労働パワハラなどの犠牲になる人は、1人で問題を抱え込む傾向がある。皆の前で大きな声を出して、異議を申し立てたりすることもしない。上司はおとなしく、使いやすい部下を求める。だから、このようなタイプを狙い続ける。
 超長時間労働パワハラがセットになった状況に陥ったとき、上司に合わせようとすると一段と事態は悪化する。上司は自分に媚びようとする部下の姿を見ると、一層いいように使うことがあり得る。
 そのようして、自分の権威を確かめ、他の社員に自らの力を見せつけようとする。彼らの餌食になってはいけない。
 それぞれの社員の役割分担や権限、責任が曖昧だから、声が大きい人やパフォーマンスに長けた人などが「おいしい仕事」を掴み、評価を上げていく。主張することなく寡黙に黙々と働く人は、「評価されない仕事」を大量に抱え込み、疲れ切っていく。
  たとえ部下であろうとも人を助けようとすると、自分が破綻する仕組みになっている。だからこそ、大多数の人は見て見ぬふりを貫く。
 業績を一気に向上させなければいけない状況下では、人事規定などのルールが状況いかんで阻害要因になることはある。
 経営側は次第にそれぞれの社員を「個人単位」でコントロールすることを覚えた。その扱いの中身は、他の者からはなかなか見えない。これで経営側の求心力は一層高まり、やりたい放題が可能になる
 いつの時代も多くの経営者は「社員間の競争が大切」と説いている。だがその一方で、公平な競争をする環境をつくろうとは決してしてこなかった。あくまで自分たちにとって都合のいい「公平な環境」しか認めない。「公平な環境」をつくると、経営側が不利になるからだ。
 社員間の競争を煽る制度は積極的に受け入れるが、役員会に人事規定を設けるなど、自分たちにとって不利なことは黙殺する。これが、競争原理浸透の本音である。
  企業の経営者やそこから報酬を得るコンサルタントらは、この構造的な問題を不問にする傾向がある。そして、盛んに競争原理の浸透などを唱える。実は、その実態を押さえようとしない考え方こそ、競争原理の浸透が進まない大きな理由であることに、彼らは気がついていない。」