部下をうつ病にするマネジメント

■「俺は駄目じゃない」(山本甲士著、双葉社、2013年)を読む。
 誤認逮捕で解雇され、ブログによって次々に起こる事件にたのしく読み終えた。今風のモチーフである。自分もブログをやっているので感情移入してしまった。弁護士の正体が明かされるところは、推理小説のようなタッチである。2か所引いて置く。
「誰かからのお手本にされているというのは、本当は人生で体験する幸福の中で最上級のものなんです。」
「還暦だというのに、現役アスリートみたいに自分の体を鍛えている。」

■部下をうつ病にするマネジメント
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
「追い詰める管理職に共通していたのは、深夜まで仕事をするハードワーカーだったことだ。「そこまで仕事が本当にあるのかな」と思えるほどだった。
そうしたハードワークの事例が出ると、識者は決まって「正社員の数が減り、1人の仕事の量が増えているから」「成果主義の影響で……」などと言い始めます。しかし、それらは現場を知らない認識であり、「木を見て森を見ず」でしかないと思います。
管理職はプレイングマネジャーであることが求められる傾向が強い。プレーヤーとして大量の仕事をこなす一方で、マネジャーとして部下の育成や管理をすることが求められます。
部下を追い詰めるのはまさしく、プレーヤーとしての力が足りないからだ。人を育てるだけの力も経験も乏しく、人格も一定水準のところまで出来上がっていない。印象ではあるが、得てして幼い。
部下を潰した30歳前後の管理職と取材で接すると、プレーヤーとしての自信がないからか、20代の部下を威嚇しようする傾向がある。虚勢を張っているようにも見える。
「なぜ、あなたはできないのか?」と詰め寄るのは、前回話したように、マネジャーがそのできない理由を本当にわかっていないからだ。自らがその仕事を繰り返し、一定水準以上にできるならば、こういう問いにはなり得ない。
部下がどこに行き詰まっているかが、手に取るようにわかる。これこそが、プレーヤーとして優秀であり、部下を育成でき得るマネジャーになる資質だと思う。
歪んだ儒教的な考えを社員に教え込む。「厳しくすることは、相手のためになる」と洗脳している。それに染まると、マネジャーになったときに部下を潰しやすくなる。
部下を潰すマネジャーたちは、「厳しく詰問することは、部下のためになる」と信じこんでいた。
うつ病にするマネジメント」の芽がありますね。実は、私の取材経験では、社員の学歴や社長などの上層部の考え方、さらに社風、社の生い立ちも深くかかわっているように思えます。少なくとも、「成果主義」や「正社員の数が減り……」という捉え方は実態を押さえていない。」