倍返し

■「朝ごはん」(川上健一著、山梨日日新聞社、2013年)を読む。
 これは驚いた。数年前に自分が描いていた内容と酷似しているではないか。リストラで職を失い、山が見える場所で食事をしていると村のおばあさんと出会い、その後、順調に仲間に支えられながら成功している物語である。山がモチーフになっているのがいい。
 テーマは朝である。朝が好きで美味しい朝食を提供したいという。かまど焚きごはんと炭火焼のシャケや卵といったなんでもないものが凄く高級で贅沢なものになっている。わざわざ遠方からこの朝食を食べるためだけに来る人達。読んでいて微笑ましくなった。著者はやはり山麓に住んでいるようだ。そうでもないとここまで詳細には書けないだろう。新聞連載の単行本化であるということは、連載中も評判が良かったと思う。いい本であった。

■倍返し
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
「やられたら、やり返す! 倍返しだ!!」
このセリフに、どれだけのビジネスマンが溜飲を下げたことだろうか。堺雅人演ずる型破りなバンカー・半沢直樹が、社内外のライバルたちと暗闘を繰り広げながら、銀行員としての実績を積んで行く姿を描いたドラマ『半沢直樹』(TBS系/日曜21時〜)。その劇中に出て来る主人公の決めセリフである。
空前の大ヒットになった背景には、長らく続いた不況の影響で過酷な勤務を強いられていた人々のなかに、自分を苦しめる会社や上司に対して「倍返し」したいという怨念が溜まっていたことも一因だろう。
「経営不振でリストラされそうになったとき、自己都合退職にさせられそうになったので、『やめちまえ』などと罵倒されたことをテープレコーダーで録音した。それを証拠として突きつけ、無事会社都合扱いで退職できました」(33歳・男性/フリーランス
  ブラック企業問題が深刻化している昨今、自己都合退職を強要されるトラブルは、メディアなどを通じて伝え聞くことが多い。「追い出し部屋」に異動させられて、事実上の解雇通告を受けるケースもあるようだ。そんな会社の悪事に抵抗するためには、ICレコーダーなどの録音器機を用意して証拠を掴んでおけば、「倍返し」が可能になる。
「飲食店でアルバイトをしていた学生時代。店長が威圧的な態度で怒鳴り散らす、退勤のタイムカードを押した後にサービス残業をさせられる、などのひどい待遇をされたので、ネットに『ブラック企業』と書き込んでやった」