残業禁止令

■「東京タワーが見えますか。」(江上 剛著、講談社、2012年)を読む。
 サラリーマン小説の一種でなじみやすかった。しかし、爺捨て山は怖かった。定年後のサラリーンを国家権力で殺してしまう法案である。しかし、会社、家族、友人の3枚の推薦状があれば行かなくても済む。この中で、だれも推薦状を書かないということだ。ここにサラリーマンの悲哀がある。就職難で自分が爺捨て山に行く代わりに子供を就職させている。定年とはこんなものだと、きれいごとばかり並べてある本があるが、こっちの方が現実的だろう。最後に、爺捨て山に捨てられた定年後の人々が野生化して暴動を起こすというおまけもあり面白かった。特に、上半身裸でスーツの切れぱしを身に着け、腹筋が6つに割れているというのは、皮肉もあろうが大いに受けた。

■残業禁止令
朝日新聞からの引用である。
伊藤忠商事が10月から夜10時以降の深夜残業を禁止する。「ノー残業デー」などで労働時間を短くしようという企業は多いが、かけ声倒れも目立つ。残業禁止という荒療治が実を結ぶには、仕事のやり方の見直しも欠かせない。
 対象は、海外の駐在員を除く約2600人。夜8時以降の残業は事前申請が必要な「原則禁止」、10時以降は電気を消して「禁止」にする。これまでは夜10時以降の残業を原則禁止にしていた。来年3月末まで試験的に取り組み、来年度から本格的にスタートする。
 深夜残業の代わりに始業前の朝5〜9時に働く社員には、給料を25%割り増しする時間外手当に加え、25%割り増しの「インセンティブ」(報奨金)を払う。夜10時以降は50%割り増しの時間外手当を払っているため、金額が減らないようにする。時間外手当がない管理職にも報奨金を出し、全社で朝型勤務をめざす。」