追い出し部屋

■「ガス燈酒場によろしく」(椎名 誠著、文藝春秋、2012年)を読む。
 このシリーズは何冊か読んでいる。いつも抱腹絶倒である。
「自分の人生には絶対に関係ないだろうと思っていたことでも、展開によってはまだわからないんだな、ということが分かって明日の人生を考える気分になった。」
「青森といったら誰がなんといっても『煮干しラーメン』である。」
「この飽食の時代、逆をいく文無し旅行はどのくらい可能か〜『自給自足』と『物乞い』」
「海や川で釣りをして蛋白源を得て、山に入って野生のアスパラや行者ニンニク、フキ、ミツバなどを取ってくる。」
「〜目が覚めたら書く、疲れたら寝るという動物的なリズムで仕事〜」
「テント読書はしあわせなやすらぎの時空間である。」
「遊びだからみんな真剣にやるんだ」
「なんにしても早く動くモノは危ないのだ」
「慢心、驕り、傲慢、不遜、貪欲、油断」
「老兵は消えていく時を迎えているのだろうか。」

■追い出し部屋
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
「A氏は50代半ば。40歳の頃、一流の外資系金融機関から中途採用試験を経て、今の会社に入社した。A氏は正社員で管理職待遇(課長級)だが、4〜5年前から所属部署(管理部門)の上司(部長、現在は役員)と仕事の進め方などを巡り、意見がぶつかることがあった。「人事部付き」となったAさんは今、正社員がやるべき仕事を与えられていない。アルバイトと同じように、「追い出し部屋」で単純作業をする日々だ。
 一応管理職だったけど、今やこんな扱いだから、周囲からは冷ややかに見られる。誰も話す相手がいない。精神安定剤を飲みながら出社している。
 社を挙げてのリストラではない。業績は決して悪くはないから……。ただ、ここ1年ほど毎年、数十人のペースで追い出しを図っている。私も以前は、そんな光景を他人事として見てきた。それが今や、自分に降りかかっている。
 彼は他の役員、さらに人事部を味方につけて、意にそぐわない者を攻撃する。左遷、出向、追い出し、減給、何でもあり。最後は、仕事まで取り上げる。それに抵抗すると、私のような扱いになる。
 一時期、仕事を完全に取り上げられた。あの生活が続き、精神科に通うことになった。今も日曜の夜になると、「明日から出社か……」と思い、憂鬱になる。
 A氏が受けているような行為を紹介した筆者の記事について、「リストラの時代だから仕方がない」「グローバル化だから止むを得ない」と、コメントを寄せる識者がいる。
 会社員は平時には大きなことを言うことが多いが、いざとなるとやはり開き直ることができない人が多い。いじめや追い出しをする側から見ると、その姿勢が「こいつは弱い!」と思わせるのではないだろうか。
 そして、より一層に付け込まれるきっかけになるのではないだろうか。「会社員はもっとふてぶてしくていい」と私は思う。再生のヒントは、そのあたりにあるように思えてならない。」