宝くじに将来を託す

■「個人事業の始め方」(萩原広行著、成美堂出版、2013年)を読む。
個人事業主とは、『恒常的な事業』を行っている者」
「体力、柔軟な発想、分析力、覚悟、魅力、研究熱心、責任感、緻密・大胆、情熱」
 しかし、面倒臭いと思ったので、半分以上は拾い読みになってしまった。

■宝くじに将来を託す
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
非正社員の時期が長い。製造業で工場の請負社員や、酒の量販店での契約社員など、働き口があれば何でもやってきた。直近では、今年3月末まで飲食・サービス業の会社で約3年働いたが、失職した。
 次の仕事がなかなか決まらず、派遣で清掃の仕事などをしてつないだ。しかし、力仕事は体力的に続けることが困難だった。そのため、やむなく生活保護の申請をして、月13万円を受け取り、生計を維持した。公営住宅の家賃が3万8000円のため、それでも何とかなった。
 生活保護を受けながらハローワークに通い、20社ほど面接を受けると、5月から銀座の老舗高級飲食店で洗い場のアルバイトが決まった。時給は900円。東京都の最低賃金869円(10月19日から改正)と、さほど変わらない水準だ。
 月に約130時間の労働で、月収は13万円程度。生活保護を受けているのと差がない。さらには社会保険が未加入のため、“安定”とはほど遠いが、一定した収入を得られる安堵感は大きい。
「自分の時給が上がる見込みはない。どうやって収入を増やせばいいのか」と悩み始めた。同僚には外国人労働者や、子どものいる50代の男性社員もいるが、皆ダブルワーク、トリプルワークをしている。
勤務先は3つ。全てアルバイト採用で、量販店では時給800円、飲食店で時給750円、公共施設で750円という条件で働いている。実働は1日10〜12時間、ほぼ毎日休みなしでバイトを入れて、働けるだけ働く。
 それぞれの移動時間がかかるため、朝家を出て帰宅すれば寝るだけの生活だ。昼食は車での移動中、赤信号のうちに慌てておにぎりを頬張る。そうして稼ぎ出すトータルの月収は約20万円。そこから国民年金保険や国民健康保険の保険料が引かれると、手元に残るお金はわずか。そこへ、食料の物価上昇だけでなく、公共料金の値上げがじわじわと効いている。
財布にあった3000円を使って宝くじを買った。それを使えば紙幣がなくなる。清水の舞台から飛び降りる思いだ。「けれど、よく考えたら虚しい。なけなしの金を使ってまで夢をみたいのか……」と、宝くじを持った自分の手をじっと見てしまう。
「働けど働けど なお我が暮らし楽にならざり じっと手を見る」――。かつて習った詩をふと思い出してしまう心境だ。まるで石川啄木の世界だ。
同僚が恒常的なサービス残業について社長に訴え出ると「嫌なら辞めろ」と降格され、給与が大幅に減った。社員の給与の規定や昇給・降格について明確な基準が示されない。労働基準法などもまるで無視の無法地帯の“ブラック企業”ではあるが、仕事のやりがいと転職への不安から、多くの同僚が耐え忍んでいる。
 大企業の連合体ともいえる経団連は賃上げに意欲を示す一方で、ここへきて、安倍政権下では解雇をしやすくする「解雇特区」や「限定正社員」の導入が提唱されるなど、正社員でも雇用が不安定になりかねない政策が打ち上げられようとしている。」