追い出し部屋

■「ロケンロール空心町」(中場利一著、本の雑誌社、2012年)を読む。
 物語としては、面白いものがあった。

■追い出し部屋
東京新聞からの引用である。
「退職勧奨を拒んだことを理由に、畑違いの子会社に出向を命じることは許されるのか。オフィス機器大手リコーの社員二人が、出向命令の無効と損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁(篠原絵理裁判官)は十二日、無効とする判決を言い渡した。リーマン・ショック後、大企業に広がる「追い出し部屋」。原告側の弁護士は「リストラと言えば何でもできるわけではないという司法のメッセージだ」と訴える。
 「キャリアを生かせる職場に戻してほしい」。判決を受けて厚生労働省で会見した五十代の男性は話した。入社から二十六年間、複合機の研究開発を担当。多くの特許に関わり、社内表彰も受けた。
 だが、リコーが二〇一一年五月、三年間でグループ社員一万人削減のリストラ計画を発表した後、上司から三回にわたり退職勧奨を受けた。拒否すると、九月に子会社の物流会社への出向を命じられた。「私が選ばれた理由の説明は全くなかった。貢献したと思ってきたのに」
 出向先での倉庫で、回収品などを段ボールから出して仕分けする肉体労働。空調もなく一日中立ったままの作業。「意に反した仕事で、見せしめなのだと感じた」
 判決は、人員配置の見直しなどで人件費の抑制を図ろうとすることは「一定の合理性がある」と認め、損害賠償請求は棄却。だが、今回の出向命令については、精神的にも肉体的にも負担が大きく「人事権の乱用」と判断した。
 東京管理職ユニオンによると、出向先で過酷な労働をさせたり、対象者を一部署に集めて転職活動をさせたりして退職に追い込む「追い出し部屋」の相談は四十〜五十代を中心に今も増え続ける。もう一人の原告の四十代男性は「(追い出し部屋は)日本の雇用を崩壊させかねない。食い止めることができたのならうれしい」と話した。
 リコーは判決について「出向の有効性については当社の主張が十分にご理解いただけない結果になった点は非常に残念」とし、控訴したことを明らかにした。」