母の入院

■創作
 八つ峰に朝日が顔だし冴え返る 禅智

  朝6時過ぎに家を出る。この時期は明るくなっているものの朝日は出ていない。
 風が吹くと寒い。凛とした感じがする。交差点から立山連邦を見やると、いま剣岳の八つ峰あたりから日が登らんとするところだ。私は、歩きを止め食い入るように眺めた。空は青空、放射冷却効果もあり寒の戻りのような冷たさであった。

■母の入院
 施設に入っている母親の目が見えにくいという。両目が白内障で右目は中央病院で昨年手術したばかりだ。今度は左目である。面倒を見ている妹から3日ほど付き添いが必要なので1日だけでもなんとかならないかと相談があった。そして、昨日の19時から24時間看護経験をさせてもらった。
 頭で考えていたのとは全く違う。まず、糞尿の匂いである。窓を開ければ寒いので換気扇を強にしたが、あまり効果がない。そんな中で食事である。7時から朝食で7;30から朝の診察になっている。親は一人では食べることができず介助していたら時間になってしまい、自分は一口しか食べられなかった。リュックのなかには非常食が入っておりこれに頼った。
 昨晩もベッドから落ちないように寝入るまでは起きていなければならず、にわかに頭痛である。昼食、薬、水、診察のための車いすへの移動などおむつ交換以外はやった。
 夜に妹とと交代したときはめまいがしていた。
 かなり辛かったが、母親から「良く見えるようになった、ありがとう」という声を掛けてもらい慰みになった。
 外は雨が降っている。春雨じゃ濡れて行こう、などと考える余裕もなくバス停で3つという近さであったがバスで帰った。