スマホが奪った「3つ」の需要

■創作

  声高に田山は謳う春うらら    禅智

 みぞれ混じりの天気ではなく、粉雪が舞いあがっている天気であった。これからは崩れるというものの春なんだな、と思っていたら、口ずさんでいた。

スマホが奪った「3つ」の需要
東洋経済からの抜粋である。
「ひとつは、「機能的な価値がスマホに置き替えられた」ケース。たとえば、カーナビや従来型のゲーム機はわかりやすいだろう。ほかにも、年賀状の枚数が、毎年、緩やかに減っているのは、スマホを中心に利用されるFacebookなどのソーシャルメディアで古い友人とつながるようになり、お互いの存在確認を日常的に行えるようになったからではないだろうか。
2つめは、スマホと「時間の取り合いになった」ケース。従来型のゲーム機はここにも当てはまる。本や新聞を読む人が電車の中でめっきり減ったように、スマホの(しかも場合によっては無償で)提供する文字情報が、本や新聞を読むという時間を取った、とも言えるだろう。このケースに当てはまりやすいのは、これまで「暇潰し」の需要を満たしていた商品だ、と小山氏は分析する。持て余した時間や手持ちぶさたを、時には寂しさを、スマホが埋めてくれているのだ。
3つめは、スマホと「可処分所得の取り合いになった」ケース。ここ数年、サラリーマンのランチ代が下がっていたと言われている。
一説にはクルマ離れもそうだと言われている。若者の入門的なクルマ、一般的には新車で180万円程度のクルマを買って自動車ローンを組むと、毎月およそ8000円以上は支払わなくてはいけない。その金額は、毎月のスマホ利用料金とちょうど同じぐらいか、むしろスマホの利用料金のほうが高いくらいになる。使えるおカネの限りがある中で、「それだったらクルマはいらない」となる人もいるかもしれない。価格帯が大きく異なる意外な業種の商品も、競合になりうるのだ。時間は24時間、所得は収入次第だが、いずれにしても「有限」であることに変わりはないのだ。
たとえば、たばこ。確かに「暇潰し」のお供というポジションをスマホに奪われた側面もあるかもしれないが、世間的な分煙の動きや健康志向の影響は、もっと大きいだろう。たばこに使うおカネをスマホに奪われた面はあるだろうが、それはスマホが出てきたからではなく、有限のおカネを予算組みする際に、さまざまな理由によっておカネを使う「優先順位」を落とされたのである(スマホが最後の「ひと押し」になった可能性はもちろんある)。クルマだってそうだ。
可処分所得スマホと奪い合っているという見方もあるが、レンタカーやカーシェアなどの選択肢が浸透していることは、必要なときに借りればいい、というライフスタイルの中で、クルマの購入を遠ざけている。
つまり、わざわざ「所有」しないといけない理由が薄れたものから、消費者のウィッシュリストの中で優先順位を下げられている。」