報・連・相を禁止せよ

■創作

 ◎春雨にやさしく打たれ父思う      禅智

 今日は雨である。傘を指しての出勤になる。この時期の雨を春雨というのだろう。雨脚はやさしく傘に落ちる。
 すれ違う人の中に、傘もささずに歩いている若い女性もいた。きっと、近いのだろう。
 日頃はほとんど思い出すことが無かった半世紀前に鬼籍に入った父親。ガテン系だったので荒っぽかったが、心根は今日の雨のようにやさしく育ててくれたのだと歩きながら彷彿とした。

■報・連・相を禁止せよ
日経ビジネスからの引用である。
「報告、連絡、相談のそれぞれ一文字目をつなげた「報・連・相(ほうれんそう)」。この“経営ワード”が世に広まるきっかけとなったのは1986年のこと。当時、山種証券の会長だった山崎富治氏が自身で実践した「ほうれんそう運動」の経験をまとめた書籍『ほうれんそうが会社を強くする』を出版、大きな反響を呼んだ。
  木下氏は「昭和から平成になり景気が悪化すると、リーダーは『決断して失敗する』リスクを避け、決断を先延ばしするようになった。会議では部下に意見を発表させるが何も決断しない。『各部署に持ち帰ってさらに検討せよ』が結論でこれが繰り返される。会議のたびに上司は部下に『報・連・相』を求める」と多くの職場で目にした状況についてこう語る。
 さらに「会議がどんどん増えるので『報・連・相』は乗数的に増える。上司は部下に『報・連・相』を指示することが仕事となり、部下は『報・連・相』のための書類を作ることが仕事となる。『報・連・相シンドローム』と呼ぶべき状況だ」と指摘する。
 「上司の仕事は部下の様子を観察して、話しかけるなどして情報を聞き出すことだ。昭和の会社はそれが当たり前だったし、それができない上司は仕事をしていないのと同じことだ」
 同社ではさらに3年前、すべての営業スタッフのパソコンを取り上げ、処分した。その数、83台。取引先との連絡でメールに頼ってしまう社員が目についたからだ。社内だけではなく、社外についてもできるだけ無用な「報・連・相」を排除する考えだ。
 住宅やビルなどの電気設備資材を製造する同社にとって、新製品を生み出す技術開発力こそが会社の命綱。そして、それは営業スタッフが取引先と交わす生の会話に多くのヒントが隠されている。
 そう考えるからこそ、同社ではあえて「報・連・相」を禁止しているのだ。」