地域デビュー

■創作

 ◎木の芽見て捻りも出来ず飯逃がす      禅智

  朝から雨である。山を見ても雲に覆われ、花も咲いていない通勤路。一捻りできないものかと街路樹を見る。木の芽が固くなっている。まだ、開かないようだ。木の芽か。木の芽、きのめと考えてながらキョロキョロ。
 いつもは、コンビニで昼食を買っているが、今日はあまりにも作句できないので、唸っているうちにコンビニを通り過ぎて職場到着である。昼抜きもまあいいか。

■地域デビュー
 あ〜る日突然、町内の班長に任命された。というか、その番が回ってきた。今日は、新旧班長の引き継ぎがあり、公民館に集合である。30人ほど集まっている。
 活動報告などがたんたんと進み、すぐに終わると思っていたが、終わったのは20時を回っていた。班長になった人は、何かの役に着かなければならないきまりである。会計とか、総務とか、体育関係とか8つの部門である。事実上は、全ての行事に出席しなければならないので、単に担当というものである。これにモメタ。一番上が総務関係である。これにはパソコンが打てなければならず、指名された方はできねい、できねいの連発である。昨年のエクセルシートに基づいて、今年用に日付を変更するだけである。自分にも打診されたが、パソコンは苦手でと断り、公園整備を希望した。どうせ、どこかの役に着かなければならないのだから、早いもの勝ちである。ようは、草むしりである。これも、全員が参加するので、ゴミ袋を出したり後片付け程度であろう。
 おかげで、今年は休みが大分潰れそうだ。しかし、このような機会を通しても地元とのかかわり合いを持っておかないと困るような気がする。
 終わって、玄関を出ると、「あんた、どこかで見たことあるね」と声を掛けられ、会社名を告げると取引先の方であった。話したことはなかったが、よく来社される。自宅はすぐそこである。世の中狭い。悪いことはできないな。