初夏の兆し

■創作

◎風誘う知らず知らずに初夏の歌   禅智

 テレビの天気予報は、太陽マークが一つで終日晴天である。薄い雲が覆っているが、太陽の光を遮るまでにいたっていない。山々は稜線がうっすら見える。日差しは初夏の陽気である。
 風は強くもなく、弱くもなくちょうどいい強さと温度を肌に吹きかけてくれる
 何か句のネタがないか歩きながら探していた。ふと、気が付くと口からは夏の歌が自然にこぼれているではないか。
「夏、夏、夏、夏、ココナッツ〜」「夏が忍び足で近付くよ〜」「春過ぎて夏きにけらししろたえの〜」
 体はもう夏の兆しを捉えている。

■「成長から成熟へ」(天野祐吉著、集英社新書、2013年)を読む。
 確か、昨年なくなられたはずである。テレビにもよく出演されていた。
副題を『さようなら経済大国』とあり、手に取った。「したり」という気持ちが湧きあがった。
「人はなぜ福袋を買うのか。答えは簡単で、『買う物がないから』です。」
「東京と大阪を1時間で結んでどうするんでしょう」「それなりの利点はあるんでしょうが、そのぶん失われるものもたくさんあるということを、いったいどう考えているのでしょうか」
「経済成長を維持するための、大量生産、大量消費〜歪となって表れている。」
「計画的廃品化」「計画的陳腐化」「計画的老朽化」
「よくないものを作れ」
「自動車は見かけで売れる」
「広告の目的はできるだけ多くの人に、いま持っている物に不満を抱かせることだ」
「貪欲でむだ使いをする衝動的な消費者にしてしまう戦略」
「大部分のデザインの変化は、製品を美的に、あるいは機能的に改善するためにされるのではなくて、それを廃物化するためにされるのである。」
「すぐれた批判のないところに、すぐれた作品は育たない。」
「圧倒的に多いクルマの広告が圧倒的につまらなかった」
「広告にも商品にもからくりがありますよ」
「巨大化するものは、えてして暴力化する。」
「豊かさとゆとりを実感できる」
「生活大国の実体は貧乏暇あり国」
「現在の日本人の置かれた状況は、もう資本主義じゃない、何か別の世界」
「富がたえず増加しつづけてきた過去〜無限に続けられないという〜直視する勇気がなかった。」
「成長が善であるとはなんたる言い草か〜それはもう悲劇である」
「〜文化力を大事にする『別品』の国です。」