餃子

■創作

◎シモクレン負けるな禅智ここにあり   禅智

 これは、一茶の痩せ蛙のパクリである。モクレンの花も早くから咲き始めた樹は、花が散り始めている。特に紫木蓮は、花弁の内側が白がめくれて、何か悲しい。
 良く見ると、一枚の花弁が風に揺れている。今にも落ちそうで落ちない。お尻の方の一点で繋がっている。
 しつこい、未練がましいと思う反面、必死に食い下がっているようにも見える。負けるなよ!と心の中で呟かずにはおれなかった。

■餃子
 今日は出勤日であった。午前中はどぶ掃除をやったので、腰が痛くてたまらない。定時に職場をでて公園に向かう。自宅でドリップしたペットボトル入りコーヒーをリュックに入れているので、どこでも青空喫茶である。今読んでいる本は今日が返却日なので延長をお願いしに行かなければならない。太陽が西に傾きかけたので、ページを閉じて駅前の図書館に向かう。
 次の予約が入っており延長はかなわなかった。このごろは、めっきり読書量が減っている。理由は明確である。帰ってから山の地図を広げ、登山時間計算用に電卓片手に試行錯誤をしているのである。もちろん、ネットもフル活用である。自分の場合は、自家用車を使わないので、もう一週間も思考錯誤しているが、決まらない。まあ、湯水のようにお金と休日があれば可能であるが、そんな身分ではない。
 今日もがんばろう。で、その結果、本が読めない。
 駅前から歩いて帰ろうと県庁前に向かうとラーメン屋さんの看板が見える。贅沢は敵なのでスルーしようとしたら、となりが「餃子会館」であった。何回か通っており知ってはいたが、そのころは駅前店がやっていたので必要がなかった。
 しかし、駅前店が閉店したため、寂しい思いをしていた。なにせ、こっちは中学校からの常連であり、店の人にも顔を思えてもらっている。そうこう思っているうちに、餃子会館に入った。店の人に確認すると暖簾分けしたとのこと。また、懐かしい味に出合えた。
 あの頃は、K君と図書館へ行き、昼食に来ていたのであった。懐かしいのは味だけではなかった。