神無月

■神無月
◎神無月立ちの山にも神昇る    禅智
 いい天気であった。山の稜線がくっきり見える。また、今日はブックポストに返さなければならず、7時前に家を出たので、立山連峰は青黒く、まるで初夏の山のような気がした。そのうち、太陽が高度を上げると白く雪山の姿を見せる。歩いているとはいえ風があると寒く、昇って来た太陽に顔を向け、目をつむる。
 神々しい気持ちになるから不思議なものだ。そこで一句浮かんだ。
 出雲に出向いた神がもう戻ってきたかのように思え、神来るか、神戻るか、神昇るだろうか、とか、神が2ヶ所に出てきて面白くないなあと考えながら通勤路を歩いていると、今回もブックポストへの返却は忘れてしまった。

■「なにごともなく、晴天」(吉田篤弘著、毎日新聞社、2013年)を読む。
 晴天というのは、ガード下の町名であった。登場人物は全て女性であったので、女流作家が書いたと思っていたが、男性であった。日常的で少し奇っ怪な情景がなかなか、良かったと思いながら読み進んだ。