ホタルイカ

ホタルイカ
 平成14年認定の先輩ナチュラリストより、ホタルイカの講演の案内が届いて、参加を申し込んでいた。
 講師は、長らく学校の先生をされていた方で、この道の第一人者であろう。
 冒頭、世話役の方のつてで講演を引き受けたが、これが最後になるということで、何か神々しいものを感じた。最後の授業という本もあるが、そのものである。こういう貴重な機会はほとんどない。
 講演内容は、今まで聞いてきた講演の中で一番ではないかと思うほど、素晴らしかった。前もって、文献と思われるような詳しい資料が配られていた。これでも値千金である。パワーポイントを駆使され、鮮明な画像や動画も交えながらの流れるような説明に吸い込まれるように聞きいった。


 講演の内容は、なぜ富山湾なのか、発光器と仕組み、生態とその一生、人工ふ化と飼育、人との関わりなど多岐に渡った。
 たくさん教えていただいたが、一つだけ特筆する。
 「ホタルイカは、なぜ緑や青に光るのか?」
 この内容を簡単にまとめる作業は容易ではないが、敢えて挑戦する。
 ホタルイカのこの発光をカウンターシェーディングという。ホタルイカは毎年2月ごろまで交尾を行い、オスはその役目を終えて深海に沈んでしまう。メスは産卵をしなければならないが、生育場所の水温が2℃ぐらいであり、産卵には温かい温度が必要なので海面に上ってくる。水面に近い部分では太陽光線は緑色を反射し、深い部分では青色を反射する。上に上がってきたホタルイカは深夜2時ごろから明け方まで産卵するが、朝方は太陽が出て白じんでくる。そうすると、自分の影が水中に映り捕食されてしまう。そのため、緑色にひかり、水面の色と同化させてしまう。少し深い場所では青色に光って目立たなくするためである。そのため、発光器は腹の部分に集中している。
 なお、滑川のホタルイカは定置網なので、他県のトロール漁に比べて格段に美味しい。特別天然記念物に指定されているのは、ホタルイカが獲れる海岸であり、他にはない地形でホタルイカの生息に適しているとのことであった。
 講演会が終わった後は、ホタルイカ御膳を食べる。

 ホタルイカづくしである。お造り、てんぷら、酢味噌和え、沖漬け、土佐煮である。やはり、獲れたては違うなあ。
 会食後、館長さんによる説明やビデオがあった。なんと、一般の人が入れないバックヤードでのテンポのいい説明はたいへん面白かった。

 今日は、風が台風並みで強風警報が出ていた。帰りに滑川駅にいったが、あいの風鉄道は強風のため不通であった。
 私は、線路を渡るべく地下道をくぐったのであった。
 ホタルイカ

 お世話いただいた方々に感謝したい。