ブルー

■ブルー
 朝から雨であった。久しぶりのような気がする。こんな日は、コーヒーショップで本でも読んでいようと決めた。なんとなく気分はブルーである。
 明日から一泊で登山の計画を立てていた。降水確率は80%で普通の人は登らないだろう。しかし、雨の原因が梅雨前線ということで、低気圧と高気圧の差が少なく、大した雨ではないという経験則があるからである。返って気持ちいいくらいだ。
 しかし、これに台風が絡んでいたり、気圧の差が大きければ中止である。
 そして、山小屋へ予約を入れるつもりであったが、三番目が新幹線で東京へ行くという、そして帰りは7日の夜中という。自家用車の優先順位が最下位なので、車が使えないことが明らかで、登山計画は無くなった。
 レンタカーという手もあるが、無職の失業者に頻繁に使えるはずもない。
 それなら、中古車でも買えばいいだろうという人は多い。この歳になって車を買うという愚行は耐えがたい。使わなくても年間30万円ほどかかり、使えばそれに比してお金がかかる。そして、老化を加速させ、人生を寂しいものにしてしまう。
 三番目は後期は自宅から通学するという。その方が、安上がりと言っていたが、送り迎えなどが絡み自分の時間がなくなることを恐れている。
 スタバへ行って紅茶を頼み、バッグをもらってきた。家族が協力してくれて、キャンペーンから2日目でゲットできた。似たものを持っているが大変重宝している。

■「楽天の日々」(吉井由吉著、キノブックス、2017年)を読む。
「還暦を過ぎてからギリシャ語のおさらいを〜」
「人は存在の罪ではなくて、あくまでも行為の罪を問われる。」
「自分の原稿を読み返していて、信じられない宛て字に目を剥くことが近頃とみに多くなった。」
「引っ越しは個人にとってなかなかの大事業であり、その後でしばしば家の主人や主婦が病むことがあると言われている。」
「読んだ内容ばかりか、読んだという事実すら忘れる。」
「夜が明けるたびに、人は老いて、そして改まる。」
「時間の流れにまぎれて過ぎ去るということは、ありがたいことである。」
「大地はひとたび返したものを、闇の中に留め置くことはしません。」
「正月にはひとつずつ年を拾うと昔は思われていた〜」
「〜大晦日の夜の、残りの一時間の刻々と過ぎる中で一人眠らず、一年の終わるのを、自分の末期と感じて待っていた〜」
「過ぎたる節もまた災いである〜」
「人は年をとっても、年を取らない日付はあるものらしい。」
「今年ばかりは黒染めに咲け〜」
「言葉というものには、それに仕えてきた者をいつ見捨てるかわからないところがある。」
「個性とはしょせん、まずしいものだ〜」
「人の生涯は大きな目でみれば、それぞれ大差もないものに違いない。」
楽天とは、天命を楽しむ、あるいは、天の理を楽しむことなのだそうだ。」
「そんなことを繰り返して、一生が尽きていく」
「人間は生きている限り、永遠を思うことはあっても、見ることはできない。」
「早寝早起きにつとめ、暴飲暴食をつつしみ、無用の外出を避け、家の内を清潔にして静かに暮らせ」
「走りすぎてきた、とそんな反省が昨今、世の中一般にあるようだ。」
「六十を過ぎた頃から、自分がいよいよ後期に入ったかと心得ている。」
九死に一生を得て来た人間はその後しばらく、あるいはかなり長きにわたって、九分の死と一分の生とを、生き続けることになるだろう。」