プロフェッショナル

■「最強の武道とは何か」(ニコラス・ペタス著、講談社+α新書、2013年)を読む。
 最近左肩が異様に痛い。筋肉が無くなっているようだ。しかし、急にトレーニングすれば逆効果になることは経験的に知っている。では、何をどうするかのヒントが欲しかった。
「強さを求めると、必ず心に行き着くのだ。」
「やはり本当の修業というのは、試合ではなく、日々の稽古のなかにある」
「重い負荷をかけることによって筋肉が破壊され、そこに栄養と休息が加わることで、筋肉がさらに発達する。」
「条件反射を利用することこそ、『柔よく剛を制す』のメカニズムだ。」
「今を精一杯生きて、今やるべきことをやる。そうでなければ明日なんてないもんだと思っていました。」(井上康生氏)
「足を横に高く上げ、力いっぱい地面を踏みしめる。〜四股は、下半身の柔軟性と筋力、そしてバランスを鍛える稽古だ。」
「重心を崩す。崩してから、戻ろうとする相手の動きを利用して投げる。」
「人間にとって、生きるか死ぬかの闘いは一生に一度か二度でしょう。そのための精神を残すのが、武道の役割ではないでしょうか。」

■プロフェッショナル
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
スペシャリストとは単能工を意味する。ある1つの技術なり、工程の専門家だ。エキスパートは、熟練したスペシャリスト、文字どおり、熟練工を意味する。それらは欧米の技術者の中ではあまり偉いとはされない。偉いのはあくまでもプロフェッショナルだ。
ある一定以上の幅のある技術を習得しているとともに、営業力やマネジメント能力があって、さらにチームビルディングができて初めてプロフェッショナルと呼ばれる。
ドイツのマイスター制度においても、強調されるのは技術ではなく、マネジメント能力だ。「頑固一徹で、人の話に耳を貸さない。商売下手」。そうした技術者では、押しも押されもしない親方にはなれない。
マネジメント能力は幅広い。経理マーケティング力、そして営業力は絶対ないとマイスターにはなれない。さらに、一度マイスターになれても、1年に一度、必ず研修を受けなくてはならない。そこで教えているのはリーダーシップとチームビルディングだ。
ちなみに技術は教えない。技術の更新は当たり前で、それは自分でやるのが筋だからだ。
どんな職場、どんな職種でも、彼は成果を上げてきた。「一人ひとりと向き合う力は誰にも負けない」と言う。これはポータブルスキルだ。彼はプロフェッショナルだ。
戦国時代などの軍議を想像してほしい。それぞれ城持ちの重鎮が集まって軍議に参加する。たとえば織田信長の軍議であれば、柴田勝家羽柴秀吉前田利家などが顔を連ねた。そんな時に、自分の城を守るような発言をしたら、下手をすれば打ち首だ。たとえ自軍は犠牲になっても、織田軍全体を勝利させるための戦略を口にしなければいけない。
マネジメントのプロも同じだ。部全体の最適解を見つけるために知恵を絞るのが、この場合のプロフェッショナルであって、そのための戦略を考え、発言し、実行しなければいけない。自分の城を守るのがプロではないし、ましてや管理するだけでマネジメントのプロだと思ったら大間違いだ。」