眼(が〜ん)

■眼(が〜ん)
 今日の予定は眼科通院である。3km強の距離であるが、二番目に送ってもらう。
 いろいろ検査した結果、今までは右目だけだったが左目もおかしいというではないか。医者へ行けば病気になる。病が増えるというジンクスを地で行った形だ。
 気落ちして帰りは徒歩で戻ることにした。トボトボと下を向いて歩いていると、比重2.73の金属で直径が2cmの物体が目に入った。これには笑ったね!と同時に、一円を笑うものは一円に泣くという言葉も頭の中をよぎった。
 あまりにも寒かったので近くのコーヒーショップに避難する。今日は一番大きなカップを持っている。トールのマイカップでショートサイズを頼む。並々と注いでくれた。しかし、レシートがトールサイズで計算されていたので、クレームを付けて50円引きになった。確信犯なので自分でも嫌な客だと思う。生きることは他人を犠牲にすることと同じではないか、などと思いながら軽快なジャズを聞く。
 昨日のニュースを見ていたら、ほとんどの局が氷上のオハジキであるカーリングの「そだね〜ジャパン」一色であった。放映時間が他の選手に比べて長かった。メダルの色よりも話題性を優先して視聴率を稼ごうという姿勢が面白かったね。
 昼からは珍しいガン類でも見に行こうかと考えたが場所が分からない。まあ、白鳥の群れがいるところが目印である。ハクチョウの北帰行も始まったようだ。

 直ぐ近くまで行ったがお目当てには出会えずであった。
 久しぶりに海岸へも行って見たが、カラスしかいない。別の海岸ではウミネコしかおらず、遅かりし由良の助だったようだ。まあ、いつもの事ではあるが・・・・。

■「心中旅行」(花村萬月著、光文社、2017年)を読む。(その1)
「眠りとは夜毎繰り返される静かな意識の喪失である。」
「人は病名がついたとたんに、病気になってしまうんだ。」
「〜最前線においては使い物にならぬとの烙印をおされて社史編纂室なる部署に移され〜」
「たぶん仕事というものは、軀も心もこういうふうにねじ曲げて変形させてしまうものなのだろう。」
睡眠時無呼吸症候群の唯一の治療法は、痩せること、です」
「心の問題は、知識では解決しない。」
「売れたら、あとは落ちるだけ。」
「若いころは車に夢中だった時期もある。いまでは、どうでもいい物の筆頭だ。」
「〜ほんとうの金持ちほど目立たぬ国産車などに乗っている〜」
「〜過去の模倣に過ぎない。そこから脱するには大量に、それこそ自我が消滅してしまい、自分の文章を他人の眼差しで吟味できるほどに書かなくてはならない。」
「プロとは引き算ができる人のことだ。」
「褒めて伸ばす教育とやらは社会に出てから使い物にならない自尊心の化け物、ずばり言ってしまえば弱者を量産する。」
「身の程知らず、大いにけっこう。」
「〜小説家を志すには絶対的に嘘が下手でということ〜」
「社会適応が完璧で物事をそつなくこなせる人は、小説家という因果な商売にはむいていないのだ。」
「残酷なもので物にも能力にも、すべての事柄には上があるということだ。それに囚われてしまうと心は永遠に充たされない。」