蔵王山

蔵王山
 暑い日が続く。予定表を確認すると数日予定の無い日はある。そこで、避暑も兼ねて少し高い山へ行くことにした。家人は自転車通勤を承諾してくれたので、自家用車が使える。あまり、無理はしたくないので、ロープウエイで登り標高差180mの蔵王山に決めた。まあ、散歩みたいなものだろうとタカをくくっていた。
 急ぐ必要もないので、一般道を12時間ほど運転し、夜中に到着した。ガイドブックには、ロープウエイ乗り場に100台以上停められる駐車場があるとなっていたので安心していたら、ロープが張ってあり中には入れない。止むを得ず路上駐車で仮眠する。
 翌朝は雨である。風も強い。ロープウエイの社員の方が出社して直ぐに、動くのかどうかを確認したら、動くという。

 登山者としては一人だけで貸し切りの百名山である。
 ここは、ロープウエイを2ルート乗り継ぐので駅名を撮る。


 頂上駅を出ると雨風が強い。ゆっくりと高山植物でも観察しながらと思っていたが、経験したことのない強さの風でそんな余裕はなかった。かろうじてサラサドウダンを撮る。イワカガミ、コバイケイソウ、ハクサンチドリなどが咲いていた。

 視界は30m四方だろうか。もう頂上だという場所で、7〜8名の中高年の団体に出逢う。今日は貸し切りではなかったと思っていると、リーダーらしい方が挨拶後話しかけて来られて、どっちから来たのかと聞く。ロープウエイから来たというと、昨日。27歳の登山者が戻らないと連絡があり、捜索しているという。見れば消防団の腕章もしている。頂上の小屋まで行くというので、案内してもらった。しかし、これが後でとんでもないことにつながった。
 図々しいものだからシャッターも頼んだ。

 どうせなら、熊野神社までいったらと勧める。

 捜索隊といっしょに熊野神社に向かう。

 社の前で手を合わせる。賽銭はなしである。

 ここから戻ることになったが、視界がないのもあって道が分からない。やはり、連れて来てもらうと駄目なのだ。自分で標識なり周りの様子を見ながら進まないと下山で分からなくなる。もちろん、晴れておれば問題はないだろう。蔵王のお釜など見ようとする意欲もなく、その場で立ち尽くした。ここはどこ?私は誰?状態である。
 落ち着いて登って来た状態を思い出しつつ慎重に周りを確認したら、石畳の登山道が見つかった。
 下山も地獄であった。雨がさらにひどく、顔を打ち付ける。メガネを外して下る。リュックカバーが糸の切れた風船のように飛んで行く。コースタイムの7割ほどであったが、もっと長く感じられた。
 そして、ドリンク券があったので、ソフトクリームを頂く。

 貸し切りのロープウエイである。
 もう一座と考えていたが、これで、テンパイになってそのまま帰宅した。久々にワイルドな登山であった。