ナビ

■創作

 ◎ひんやりと火照る体に春の朝      禅智

 夕べも夕飯後寝転がって本を読んでいたら、いつのまにか眠ってしまったようだ。
テレビは音を出さず“動く絵画”として利用しており、付けっぱなしの状態である。
 “春眠暁を覚えず”は「春の眠りは心地よく、うっかり寝過ごし、夜明けに気付かない。」という意味らしいが、これを地で行っているようだ。そういうわけで、風呂にも入りそびれてしまった。
 その結果、今朝は朝風呂になる。熱い湯船にゆったりと浸かったので体が火照る。
 天気は曇りだ。気温はそんなに低くはないのだろうでれども、火照った体に吹く風は気持ちがいい。

■ナビ
 今日の配達は石川県加賀市であった。4tトラックで向かう。ナビは電話番号一発登録で便利な世の中になったものだ。近くまで来た、「左へ曲がります」という声に従ってハンドルを切る。3回左へと案内される。元の場所に来る。2回行う。歳相応にボケが進んでいるとは言え3回目はどうなるかは分かった。しかし、目的地へ着けないことが判明する。
 パーキングランプを点け道路わきで途方に暮れていると、電話がなり、「何時頃着くのか?」と催促である。ナビの地図をずらすと目的地が出てきたので方向だけ確認し着くことができた。
 守衛所で担当の方が待っておられ入門書も書いてくださり自転車で先導してくれた。
 帰りは、「自宅」にセットする。狭い道に誘導されるが従うしかない。とたん、「2.8m」の看板のある国道下のトンネルだ!急ブレーキを掛けてパーキングランプを点けて後続車2台を先に通す。道幅は5mぐらいか。再び途方に暮れて、トラックを降りて考える。30mほど後ろに前庭の広い家があり、慎重にバックする。民家に声を掛け前庭を使わしてくれと頼んだら快く引き受けてもらった。スイッチターンをして広い道へと向かう。ナビの音声案内は完全無視である。国道8号線まで出て富山方面に向かえばその内高速の看板が出てくるだろう。予定通りであった。そういえばナビが無い時代は標識で進んでいたんだとついこの間のことなのに大分昔のように思えてくる。
 今回は、ナビは人間の本能を退化させる文明の悪器と言っていたのでバチが当たったのだろう。これは頼り過ぎは良くないが、ある程度利用する方がいいという意味であった。
 ちなみに自宅の車にはナビは絶対に付けない。あらかじめ地図や目印を時間を掛けて確認し、迷いながら目的地へ着くのである。それほど遠距離の利用は少ないということであり、登山などの場合は、自宅の車が空いていてもナビ付きのレンタカーを借りている。