自腹

■創作

◎春暁青い山脈迫り来る   禅智

 朝5時ごろに目が覚める。昨日は、町内の役員の仕事で少し職場を早く出て役割を果たす。2時間近くかかってしまったが、まだ終わらない。今週中に終わればいいので、機会をうかがおう。慣れない仕事をしたためなのか、22時前に自然に眠ってしまったようだ。
 そのため、今朝は気持ち良く目が覚めた。天気を確認しようと外へ出る。まだ太陽は昇っていなかったものの十分に明るい。東の方を見ると立山連邦が青く大きく屏風のように立ちはだかっている。こんなに近かったかな?と不思議な気持ちだ。
 通勤時刻は太陽もだいぶ上の方にあり、日陰を選んで歩く。山はいつもの大きさにもどっている。明け方に大きく見えたのは目の錯覚なのか、水蒸気が朝の冷気でレンズの役割をして大きく見せたのか、などと考えながら歩く。
 中央病院前の白い花や黄色い花も咲き出し、にぎやかなことこの上ない。モクレンも咲き出した。ハクモクレンに混じってシモクレンが凛々しく感じられる。

■自腹
ニュースから抜粋である。
「空調・電気設備機器の販売、据付工事などを手掛ける上場企業A社において、多数の営業担当社員が不正を繰り返していたことが判明。 この不正、キーワードは「自腹」だ。
営業成績を上げるために自腹を切ってでも得意先を接待する社員が少なからずいて、自己負担分を取り返そうと、据付工事の下請業者に水増し請求をさせてキックバックを得るようになったのが一連の不正の発端となった。「会社のために自腹で接待したんだから、その分を会社からもらってもいい」と、不正を正当化したのだろう。 「私的な費用を会社に請求してはいけない」。これは誰の目にも明らかだ。しかし「会社に請求すべき費用を自己負担する」ことについてはどうか。従業員は被害者意識こそ感じても不正を犯すという罪の意識はないだろう。ここに落とし穴がある。
会社としては、営業経費や残業代削減の努力はもちろん大事だが、現場の実態を無視して一方的にやりすぎると、自己負担やサービス残業が増え、従業員の心の中に「会社には貸しがある」「自己負担分は取り戻す」「倍返しだ!」というわだかまりが高まる。それが、モチベーションの低下、会社への不信感、退職率の上昇などの悪影響をもたらす。極端な場合には今回のような不正の温床となって、結局は、会社は削減した経費の何倍ものしっぺ返しを食らうことになる。」