春爛漫

■春爛漫
◎赤白黄鼻を近づけ春爛漫    禅智
 いい天気だ。まるで5月になったかのような陽気である。シモクレンが開きだした。まだつぼみの枝もある。萩のような白い花が目立ち始めた。田圃の中では、ペンペン草と土筆が競演しており、離れた場所にはオオイヌノフグリ青い花を目立出せている。
 花に鼻を近づけてみた。あまり、いい匂いはしなかったが、悪い気はしない。遠くの方に咲いているのだろうか、沈丁花の甘酸っぱい臭いを風が運んでくれた。

■「老年の価値」(ヘルマン・ヘッセ著、朝日新聞社、2008年)を読む。
 さすがにノーベル賞作家の本だと思った。実に知的であった。写真も多く掲載され、ありがたかった。ヘッセのファンになりそうだ。途中に挿入されている詩はどれも素晴らしく少し抜き書きすることにした。
「老いた人びとにとってすばらしいものは
 暖炉とブルゴーニュの赤ワインと
 そして最後におだやかな死だーーーー
 しかし もっとあとで 今日ではなく!」
「こういうことだ 老いることは かつての喜びが
 苦労となり 泉も濁って出が悪くなる
 その上苦痛さえも風味がなくなるーーー
 人は自ら慰める 間もなくすべて終わりになると」
「老人たちはどこかに終わりがあることにすでに気がついている」
「〜そよ風に散ったのだ。時が来たからである。」
「老齢になると多くの苦痛に見舞われるけれど、いろいろな賜り物にも恵まれる。その賜り物のひとつが、忘却であり、疲労であり、諦めである。」