戸破

■戸破
◎静けさをかき消し破るエゴの春    禅智
 朝から雨がしずしずと降っていた。この時期の雨は優しくていい。だんだんと歩くに従い、名前を連呼する騒音にぶち当たる。選挙のためだ。誰に入れようかという段階ではなく、投票しようかしまいかという次元になっている。投票に行った時でも、パンフレットを投げ込んで廃棄の労力を強要した候補者や今日のように静かな時間を奪った候補者には投票しないことにしてきた。さて、今回はどうするかな。
 薬を飲み始めて数値は改善されている。こういう状態を歓迎する気にはなれない。普通は、良く効いてよかったね、などというらしいが、薬漬けの生活を正常な生活と認めるわけにはいかない。
 今日から新年度か。ニュースはそればかりやっている。まるで浮かれている映像を見ると耐えられず、チャンネルを変える。こっちは、それどころではない。