■腹

 草津温泉・軽井沢の旅はカタルシスを生んだ。昨晩は、疲れているにも関わらずに眠れないというアンバラスな状態が起きて、外を30分ほど歩いて来た。外は涼しかったのでエアコンは要らないと思ったが、家の中は暑くてやはりエアコンを入れた。

 旅行のことをいろいろ思い出して悦に浸っていたが、忘れていたことで思い出したことがあった。

 草津温泉で宿泊した宿は上皇后さまも訪れた由緒ある宿であった。見かけは平屋に見えるが、崖の傾斜を利用してあり、鉄筋コンクリート3階建てであった。コンクリートの壁の内側を樹木で覆っているので、全体的に柔らかい感じがする。源泉かけ流しであり、加温もせず、水も入れず、消毒もせずという風に書いてある。この少し熱めがいい。

 家人は温泉も専門家であるが、その泉質の良さは分かるという。温泉に入った後の疲れは、いままで貯めこんだ毒素を吐き出しているように感じた。いい疲れであった。

 朝も気持ちよかった。道路の温度表示計は気温23℃と表示されている。思わず散歩したくなる景色である。しばらく歩き、ベンチに腰掛けて、野鳥のさえずりや木の葉のざわめきを聞いていると、頭の中で音楽が湧き出す。昔聞いていた、サンタナの音楽である。レスポールが唸る中で、タイコの旋律が妙に残っている。さっそく、自分の腹を楽器代わりにしてリズムを刻んだ。

 この宿の隣には道の駅があり、キムチ売りの屋台のおじさんが準備をしている。♪チャンチャ、チャンチャ、ズチャ、ズチャ、タッ、タッタタタ、タタッ、タタッ~。調子よく腹をたたいていたら、そのおじさんが声をかけた。「おれも太鼓腹とよく言われるけど、あんたには負けるわ、それにしても立派な太鼓腹だ」

 これは、褒められているのではないので、返事もせずに苦笑いを残して宿に戻った。この太鼓腹の原因の一つは薬の副作用なのである。そして、二次的副作用もある。

 家族で軽井沢のアウトレットへ行ったが、何かのタイミングで家人が顔をしかめる。指は自分の腹を指している。つまり、ポロシャツからポロッと腹が覗いているというのだ。

 このポロシャツを買った時は、いまほどひどくはなかったと思うが、円周は直径の約3倍なので、球に近づくにしたがって長さが延びる計算になる。そのため、ポロシャツの裾が覆いきれなくなって露出することになるのであった。家族は他人を装っている。

 腹が出ていてもお腹は空くのが不思議である。帰宅後は、寿司を買ってきたので、残飯整理と合わせてたらふく食べた。腹は、パンパンになった。

 今朝は、休み中にもかかわらず出勤するという家人に途中まで乗せてもらって図書館である。

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 少し目眩がする。少し目を瞑っていたが、改善しない。昼も近いので、徒歩で帰宅する。風が強く日陰は快適であった。昼の食材を買ってからラーメンを作る。これは、ひき肉が半分冷凍してあったのでそれを処分する目的であった。野菜も230g入れ、トウモロコシも残った分を全部使った。失敗だったのは、生ニンニクがなかったことである。仕方がないので、チューブ入りにしたが、やはり生にはかなわない。

 目眩の原因は休養不足だと考えて昼寝を決め込む。夕方起きたら幾分楽になっている。夕飯時の話題は自分の腹であった。毎日、プールで1時間歩けという健康運動指導士に対して、言い訳をしている自分がいる。今に痛い目に合うと断言される。可能性のあるのがⅡ型糖尿病ではなろうか。食事と運動のダブルで取り組まないと効果が出ないという。歩くときは2kmを20分程度の速足でないと効果がないという。今のちんたら歩きでは、効果無しときっぱり言われる。この間読んだ本ではゆっくり歩く方がいいと書いてあったが・・・。

夕飯後逃げるように、セカンドオフィスに行った。しかし、Wi-Fiが繋がらないので、ここは取り消しになろうか。以前は使えたので今のPCの設定が間違っているのだと考えているが面倒なのでそのままにしており調べる気もない。しかし、すこし触った。パソコンのトラブル解析では、モデムの設定が問題のようだ。店の方に言うと、その人のスマホもダメだという。数日中に直ることを期待したい。

■「作家のおしごと」(五木寛之著、東京堂出版、2019年)を読む。

「風邪や下痢は心身のアンバランスの警告だという。」

「物語というものと、その人間の体験とは、一応きちんと切り離して考えなきゃいけない。」

「~歌は人間の魂の食べ物だ~」

「死が前方にあると思うな、~死は背後よりきたれり~」

「世の中は誤解で満ちている。」

「~努力イコール結果でないところが面白い。」

「~文章なんて一枚の写真にも及ばない。」

「どうせこの世は冗談」

「二度と同じバレエは踊らない」

「人は結局、他人を理解することはできはしない。」

「拍手もないような講演でも大事にしなければいけない~」

「おりて、何をやってるんですか~バード・ウォッチングやってるんだ」

「時間の止まったようなリゾート地のプールサイドで、日がな一日、本を読みふけるような優雅なアメリカ人の休日~」

「“一畝不耕(いちぼうふこう)”、“一所不住”、“一生無籍”、“一心無私”」

「原稿用紙と電子辞書と万年筆さえあれば~」